夢激怒
結局、あまりの羞恥とまぁ、なんとやらで気づいたらそれはもう今までにないほどの大爆睡をしていました。えぇ、どうも。
その爆睡をしている間に見た夢とやらがあまりに衝撃なもので。
大昔(多分)、俺らしき人間とおニイさんっぽい神様が一緒にいるだけの夢。
どうやら、そんなだけ昔から、俺はあの人と繋がりがあったようで。
まぁ確かに不思議なことを言われてた記憶はある。
そう考えると全部点と点で繋がるし、おニイさんがどんな神様なのかも、その長ったらしい夢のおかげで思い出してしまって、飛び起きてみたものの、肝心の奴の姿は真横にいたはずが、すっかり藻抜けの殻だった
「……あんの野郎……、逃げたな……」
どうせ内心の読める人なんだ、夢が読めるかは知らないが、なんかを察して、逃げたに違いない。
「……待ってろよ、ぶん殴ってやる」
散々好き勝手しといて、決定打まで打っといて逃げるなんて上等だろ
冷慈、激おこぷんぷん丸です。えぇ。
「くっそ……腰ぃいい……」
地味に痛いものの気にしてる余地はない。
どうせ今日は学校なんか行ける気がしねぇからと、私服を着て、バタバタと寮を走って出て行った
その途中、登校途中だったのか、彩詞と引きこもり野郎がいたけど、視界にもいれずに目の前を余裕で私服で通過してやった
(今日は勘弁してくれ)
どうせ学校とか言っても、まぁせいぜい明日先公勢ににこやかに怒られるのがオチだろうし、トトとかいうのはうまいこと言ってみづ姉に回す。
「どこいきやがった……っ、あんのクソガキ」
大昔から、変わらない。変わったのは俺の方。
いや、まぁそれはしゃーないと思ってくれって感じだけども。
海にきてみてもそれらしい姿はない。まさか、飛び降り……いや、それはないか。
なんとなく、直感でそれはないともう少し海を探して回る
だめだ、一人もいねぇぞ、すばらしい見晴らしである。
「ここじゃねぇんなら、どこだよ……!」
「お久しぶりですねぇ、錫杖さぁん」
「……!なんだ、アンタか、弁天の嬢ちゃん。それにしてもまさか兄妹だったとはな」
「思い出していただけて光栄ですぅ、あの頃の錫杖さんにはお世話になりましたしぃ」
錫杖それが初めておニイさんと淡音さんにあったときの俺の名前。
そのときは本当に兄妹だとか知らなかったけれど
淡音さんにもおニイさんにも特に大昔に何をしてあげたわけでもないけれども。
「なのでぇ、あの頃のお礼ということでぇ、おひとつイイコトを教えてさしあげますねぇ!」
「イイコト?」
「はい、そーですぅ。……冷慈兄さま、私の兄さまなら、あなたのお好きな場所にいますよぉ」
「……俺の、好きな場所?」
少し考え込む。どこだ。
俺は海か、山にしか行かないけども……と思考を張り巡らさせて、気づいた。
なんだ、山のほうか。
え、でも足、悪くなかったっけか。
「……、ありがとうな」
「いえいえ〜!応援してますので〜」
「……でた、腐女子」
とりあえずお礼を言って、また走りだす。
足悪いくせに無理して登ってんのかよ、アホだろ
(待ってろ、意地でも見つけてやる)
(なんのこれしき、こんなカクレンボ)
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