お願い爆ぜて



「……ん」

「やっと起きたか」


目を開ければ、見慣れた人物が一人とまさかの人物が視界に映ってゴッと物凄い勢いで起き上がった


「わぁ!」

「お、起きた!弟ー!元気か?ん?弟、是非弟の部屋に私のカメラをだn、ゴファッ!!」

「姉ちゃん、兄ちゃんは人生の道を踏み間違えたんだ、ホモとか、姉ちゃんも目を覚ますよろしぃいいい!!」

「妹ゴルァアアアアアア!!私のアイデンティティ壊すか!?あぁん!?」

「はぁ?キモイんですけど〜」

「よろしい、ならば……」

「「戦争だ」」


「……何しに来たんだよ」


姉ちゃんと妹が来てくれていたのはまぁ置いておいて、こいつらは本当に何をしに来たのやら
つうかホモとかなんだとか騒ぐな、みっともねぇ

これだから女は好きじゃない、ん?……やっぱ、俺はホモか

ごちゃごちゃと言い合いをしながら姉ちゃんと莉子が保健室から出て行った
本当に何がしたかったのか、わからん


「……あれ、おニイさんは?」

「あぁ、起きてすぐ出て行ったぞ。……まぁ、俺が居たからな」

「あぁ……把握した、探しにいくk……うぉわぁ!?」


ベッドを抜け出て、ガラッとドアを開けて思わず飛び上った
特に喋るわけでもない、なんだか非常に眠そうな男子生徒が突っ立っていたから


「何してるんだ、ヒュプノス」

「……レーちゃんと、タナトス探してるの」

「あいつならさっき妹と喧嘩しながら出てったぞ。タナトスなら図書室か家庭科室でも覗いてみろ」

「……わかったの……」

「……………………」


俺が何を喋る間もなく、その生徒はフラフラと歩いていく。
どうやら姉ちゃんを探していたらしい。あんなこう、宋壬が悪化したみたいな奴いたのか。とドアの前で立ち尽くした


「お前はいつまでそうしてるんだ」

「あ、そ、そうだおニイさん探すんだった……」


思考を引きずり戻して、保健室を出て行く。
今度は入れ違うようにネメシス(先生)がこっちへ来ている。割と全力で、やばい死ぬ


「センセー!!センセー!」

「……はぁ、ネメシス、ドアまた壊したのか」

「あ!壊れてるー!レイレイ!壊しちゃ駄目だよ!いい子だと思ってたのに!」

「え!?」

「……お父さん、悲しい」

「おかーさんもかなしーなぁ!」

「しれっと俺のせいにすんな!!」


なんだ、この青信号だと安心して渡ったらトラックに正面衝突された気分は。
今の場合、軽く引きずられたぞ絶対。しれっと柊さんまで悪ノリするしなんてことだ。
……だめだ、あの人なんだかんだ楽しそうなことには地味にのっかるんだった


「あぁ、リア充とか目に毒だわ、しかもあの年齢……いや、あれはもはや夫婦か」


あぁぁあああと萎えながら、廊下を今度こそ歩けば、今度は窓の外に宋壬とチビがいて、俺を見つけて、宋壬が寄ってくる。なんだよもう、リア充じゃねぇかよ


「あ、冷慈」

「ふ、不良め……!また我の首を狙って……!」

「……ふへへへ、宋壬ちょっとツラ貸せや」

「やだ」

「おい!!」


しれっとチビを連れて俺の手をすり抜けてまたどこかに逃げていく
あの野郎、覚えてろ

もう流石にあわないだろうと、盛大にわざとらしいぐらいのため息をつきながら歩き出せば、うわっという声が真正面から聞えた。

もう、目を開かなくてもわかりました。足音的にわかります
リア充がまた俺の行く手を阻みました。なんなんだよ


「哀詞!冷慈がため息ついてるぞ!」

「いいか、あれはまだ、独り身の男のひっどい妬みだ」

「そうなのか!それはダメだな!」

「お い !なんなの!?今日のお前等の俺の扱いよ!?」

「「いつもじゃないのか?」」

「……え、あ、ハイスイマセンデシタ」


どうやら俺は哀詞とイシスに勝てなかったようだ。
なんという。これがリア充か一刻も早く爆ぜろ
あぁ、辛いぜ目につらいぜ。コンタクト使用になった俺の眼球は、頭蓋骨のほうへ全力で逃げようとしています


(ごめんなさい、もうリア充に遭遇しませんようにー……)


そんなことを願いながら哀詞とイシスのまぁ、イタズラコンビ(俺に対して特に)を通過していく


「わーッ!ルーちゃんはやーいッ!」

「だろー!!」


特に俺に気に留めることもなく、ルア兄がなんか知らないが金髪少女を肩車して廊下を全速力で駆け抜けていった

誘拐ですか、なんですか。
え、あの人、20……いや、趣味を問うことはやめてやろう、うんそうだ。
それよりも、廊下は走っちゃいけませんってあの人は知らないかね。
だめだ、ヤンキーだから。ガチもんの。


「他にあいませんように」

「誰にぃ?」

「リア充に……きまっ……へ!?」

「れーじたんみっけー」


どっから出てきたのかは知らないが、おニイさんがガバッと飛び掛ってきて、思わずバランスを崩してひっくり返る

ゴチッと音がして、頭部に鈍い痛みがはしる。
どうやら壁にぶつけたらしい


「いってぇ!」

「あっはっは、だっさーい」

「こんのやろー……!」


まぁ、言うほど痛くないのは俺の石頭のおかげだろう。
そこだけはありがたいぜ石頭。

捕まえようと伸ばした手をことごとく避けられて、鬼ごっこのようになっていく


「くっそ……!」

「がんばれ〜、あとちょっとだねぇ」

「動くなよ……!」

「動くなって言われて動かない馬鹿はいないよぉ」


辺りが夕日で綺麗な中、廊下で鬼ごっこ。
そこらで夕日を見ながら「わぁー綺麗だねー!」「そうだな」みたいなくっそ、甘ったるい空間は好きじゃない俺には、こっちのほうが断然楽しい。


(やっべ、楽しい……!)

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