Prologue

「生きてるだけ、迷惑だよなーあいつ」


そんなこと、俺が一番理解している。他人に言われずとも。
ふと、思い出した、箱庭とは関係ないその過去に吐き気を覚えた。
あぁ、なんでこんないい風が吹いているときに、思い出してしまったのか。

イライラとする何かを抑えるようにいつも通り体育館裏で睡眠体制をとった。


(あーあ、これだから、うざったいんだよな。人間、いや感情がある奴等が)


「アレェ?それだとれーじたんもその枠じゃないのぉ?」

「!!ま、たお前か!!」


人がせっかく眠りこけようとしていたのに、いつものお得意の"読心術"みたいなもので、奴は現れた。畜生、うざい。

なんというか、今はそんな気分ではないのである。八つ当たりしたい気分。

(……でも、八つ当たりとか、したらいよいよ、な)

俺は、あんな奴等と同じように成り下がるわけにはいかない。と歯を食いしばる。


「シッシッ」

「人を動物みたいに扱わないでよぉ。八つ当たりも勘弁〜」

「また、読むなっつってんだろ」

「え〜、れーじたん面白いんだもん」


完全に遊ばれている。これは。でも、ここでおニイさんに言ったところで、何も変わらないのだ。
そう、過去はどうあがいても消えない、つけられた傷は修復されることはない。

バラバラに砕けた心なんか、もう修復することも諦めた。
だから、俺は、こうなったら。とヤケに走る。
どうしていいのか、わからないのだ


「だっれが面白いだと!!」

「そういうところが面白いんだよぉ」


走ってるわけでは、ない。でも飄々と交わすように逃げるおニイさんを、捕まえようとはする。
あと一歩でいつも綺麗に避けられるのだが。
本気を出せば、捕まえられないこともない、気はするけど、しない。


「あ、待てゴルァ!」

「待てって言われて、待つ馬鹿はいないよぉ」

「こんのやろう!」


こうすることで、あの日々を少しでも忘れれるならそれでいい。


「死ねばいいのにな。あいつ」


「こんだけ言われて登校拒否もしないんですかーかっこいいですねー」

「あいつぜってー人間じゃねぇよー心もってねぇぜー」


「早く、死ねばいいのに」






(あぁ、俺の記憶に残る、お前等が早く死ねばいいのに。俺は死んでやらない。強い、から)

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