閉めきって関与しない

「……今日は、冷慈来ないなぁ」

「不良だから……やっぱりサボって……!」

「……でもいつも怒られるし……」

「彼に限って、サボりはないかと。比較的、真面目です。少なくとも戸塚樹乃、日白義宋壬よりは授業に出ていますから」

「「……」」


その頃教室では冷慈が珍しく来ていないと気づいた宋壬達が話し込んでいた。
なんとなく、外の風が荒れている気がする。と窓から外を眺めてみても、答えは返ってこないので仕方なく、サボるという予定もかねて、冷慈探しの旅を樹乃とすることにしたようで、二人で教室を出て行く。

(もしかして、あの狐の人とケンカ、したかな)

なんとなく、本能的に悟って、また少し深く考えてみる。
彼はそういえば他人の心を読める特殊体質だったはずだ。と。
もし、それで、うっかり冷慈の逆鱗に触れていれば、冷慈のことだからどこかに逃げていそうだ。
そうでないなら、問題は冷慈の方なのだろうが。とそこまで考えて、その行為に気だるさを覚えたらしく、考えることをやめた。


「どこから探すんだ?不良のことならとりあえず長に聞いてみるか?」

「……長……あ、冷慈に似てる人、だ。うん、そうしよっか」


とりあえず樹乃に手を引かれ、その長と呼ばれた神の元へと二人は歩いてく。
屋上で少し荒れた風に吹かれながら、彼は何を思っているのか眉間に皺をよせ山のほうを睨むように視ていた


「長ー!不良、知らないか?教室にも来ないんだ!」

「……教室にも、いねぇのか?冷慈さん」

「……いないよ。きっと、機嫌が悪いんだろうと、思う……風がおかしいから」


やっぱりか。と風上のほうを尊が向けば、さっき見ていた山がいつになく、気味悪く見えるように立っていた。


「……。でも、きっと、大丈夫。冷慈、だから」

「……、宋壬は不良のこと、信用してるんだな」

「え?……そういんじゃ、ない、けど……。冷慈は、お人よしだから、頭冷やしたら、戻ってくる。……みんなに、迷惑、かけれない。って」


いつもだったら。と不吉な一言を呟いて、宋壬は座り込んだ。
どうやら疲れたようだ


「…………………」

「こんなとこで寝んなよ、お前」

「そうだぞ宋壬!こんなところで寝ちゃだめだ!」

「……う、ん……れい、じ……」


無意識に冷慈の名を言ったらしい宋壬は、今にも睡魔に負けそうになっていた。
ただ単に尊を冷慈と寝ぼけて認識しただけなのか、癖なのか、はたまたは、別の何か、なのかは本人にすらわかってはいないようだ


「……なんか、嫌な予感しかしねぇ」

「長……?」


そんな尊の予感がまさに的中することになるとも知らず、宋壬は半分以上意識が夢の中へと沈んでいた。






『また、信じるのか?あんな何を思ってるのかわからないような奴。今まで以上にきっと厄介だぜ?』

「違う、違う……っ!!俺は、本当は……っ」

『誰も聞いてくれやしねぇんだよ。"俺"の声、なんてな。そうだろ?だから今がこうなんだろうがよ』

「あ、あぁあ……やめろ、やめろ……っ」

『あれー?何か楽しそうなことになってるー』

『げっ、お前かよ、邪気神』

『げっって酷ーい。それより、まーぜてっ!このおにーちゃん、XXXXないようにしてあげるからっ』

『チッ、そうかい。んじゃ頼むぞ』

『うんうん、お邪気ちゃんにマ・カ・セ・テ』

「……、何、す……っあぁ、あぁああああ!!」


(弱みを晒した君が負けるフラグを乱立した山の中)

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