ウザいんです

「……」

「よ!弟ー!昨日探し回ったんだぞ俺!どこいたんだよ!」

「……姉ちゃん、うぜぇ」

「えー、れーじたんのおねーちゃんなのぉ?」

「……」


調子のいい姉に嫌気のさしている俺は、おニイさんに返事もせずに姉ちゃんを睨む。
おぉこわこわ。と肩をすくめて、逃げるように別の場所に行った。

これでやっと、安息ができる。とおニイさんを担いで目的地へと足を運ぶ。
おニイさんはどうやら嫌っているらしいので、とりあえず逃がさないように担ぎっぱなしでいいだろうか。


「れーじたーん、きーてるぅ?」

「聞いてますけど」

「お姉さんも人間さんだったねぇ」

「今はな。あの人はしれっと神様にでもなんでもなるんじゃね。自己中な人だし」

「へぇ、そうなんだ〜……」


まぁ、俺の知らないところで、あの人もその性格のせいで苦労していることは知っているけれど。
だったら治せばいいのに、自分が正しいと言わんばかりの物の言い方をするからダメなんだろ。
俺が他人のことを言っていいのかもわからないが。


「柊さーん、急患でーす」

「おい、お前等、それどうした……」

「……あーっと……色々?」


適当にごまかして、手当てだけしてもらって、外へ出る。
当然まぁ理由はなんであれ、おニイさんのは俺のせいも同然なので肩は貸すが

保健室を出てから歩いているとネメシス(先生)が向かいからやってきていた


「あークソガキがレイレイに助けられてるー!流石レイレイ!いい子ー!」

「あはっ、れーじたんは、こーみえてやさしーんだよぉ?」

「いやいや、ちょっと何かちゃ……やめーよアンタら」


普段言われない言葉を言われ、ちょっと足早になる。
あーくそ、やめてくれって。

そういう、仲良しごっこは。



「センセー!今日は頑張って20分遅刻で来れたよー!」

「……今日はどこまで迷って旅をしたんだ」

「えーっとね、レナレナに教え込まれたはずなんだけどー気づいたら、ミヅミヅのところにいて、それからコユコユに激写されて、今にいたってる!」

「……あの3人に捕まったんだな。わかったわかった」


「それより!ねーセンセー!ほら早くー!センセーのところの子の、なんか色々?教えてよ!これでも私もセンセーなんだから!生徒のなんかそういうの把握しなきゃー!」

「……お前、さきにグルーガンにあたってただろ」

「?うん、でもグ……接着剤センセーは詳しく知らないって断わられちゃったんだもん!聞きたいなら柊がいいってアドバイスまでもらったんだよ!これは聞かなきゃ!」

「じゃあ教えん」

「えー!」

「うそだ。……そうだな。双子は、残り時間がない。まぁ呪いとか祟りではないが、なんというか、神様の事情ってやつだな。それを知らない彩詞に、覚えてない哀詞。
宋壬はありゃあ頭のおかしい美意識過剰だ。老けたくねぇんだと。おまけに死に顔をさらすのも嫌なんだと。


……冷慈は、誰かに助けてほしくて、それを声に出せないだけだ。哀れなもんだな。これでいいか」


「うん!ありがとうー!とりあえず、皆大変そうってことはわかったよー!レイレイはきっとクソガキがなんとかするー!多分!」

「そうだといいけどな」

「じゃあ残りの4人はー?中国神話さん!」

「……、麗菜は根つめすぎだな。美月はちょっとばっかしネジがねぇだろ。小柚希は宋壬と同じようであいつはこう……まだマシだな。ルアは、……なんだったかな」

「センセー覚えてないの!?大丈夫!?長生きでボケちゃった!?」

「あのなぁ、ボケてねぇよ。確かにたまに記憶は飛んでるが」

「え!?やっぱりボケてる!」

「……」

「謝る!謝るよー!ごめんなさい!だからそんな目で見ないでー!照れちゃうよー!」

「アホか」


(あーあ、何やってんだか。俺は。おニイさんに助けられて、情けない)

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