意味がわからない
「……ん」
なんだかやたらと眩しくて目が覚めた。場所は変わらないのに、昨日の夜ほど寒くない。
というか、人肌感が背後にある。何故だ、とボンヤリ思考をまわしていると後ろで、意外と痛いなぁみたいな声が聞えた気がして飛び上がった
「!?」
「あ、おはよぉ〜。も〜こんなとこで寝ちゃだめだよぉ」
「……え、何、して」
「何って……見つけちゃったけど、『誰にも見つかりたくねぇな』って思ってたのは、れーじたんでしょ〜?」
「……それは……」
「大丈夫〜誰にも言わないよぉ」
「……あ、そ」
やけに俺の物真似がうまいのはまぁ、おいておくとして、いつまでこの状態でいる気だろうこいつ。
暖は取れるにしてもこの状態はなんとも言えない
何が楽しくて男同士で引っ付かねばならんのか。さっぱりである。
とはいっても、多分、嫌がらせからされている行為ではないようなので突っぱねていいものなのか、否か。
「……」
「いいんだよぉ?僕のこと突き飛ばしてもさぁ」
「……、また読みやがってずりぃ」
首元が寒くて、シャツの襟で首と口元あたりを隠す。
あぁ寒い寒い。と思いながら
「……」
「……なんだよ、じっと見んなよ」
「んーん、なんでもないよぉ」
あまりにじっと見られたもんで若干居心地が悪かった。
仮面をしてるとはいえなんというか、視線というもんは見るもんではなく感じるもんであるということを痛感した。
「もう、いいからとりあえず離れてくれ」
「はいはぁい」
「あってて……くっそ、泥に戻してやる」
文句を言いながらも立ち上がれば、昨日よりもずっと足の痛みが引いていて、痛いのは足より上だけだった
変な治り方だと思いながらも上半身に残る痛みに耐えながら、歩く。
途端に後ろでズシャっと音が聞えて思わず振り返った
「っ……あはは、気にしないでぇ。さきに戻ってていいよぉ、ちょっとフラついちゃってぇ」
「……」
そういえば、前に保健室でこの人は言っていた。
傷を引き受ける。と。
「……頼んでもねぇことすっからだろ」
まだ残っている傷も腕の打撲もかなり痛いものの、頼んでも無いのに、そんなことをしたこの人を野放しにするわけにはいかない。
そんなことしようもんなら、まるで、あいつらのようなクズに今以上に堕ちてしまうのが目に見えている。
「しっかり捕まれよ。本調子じゃねぇんだから」
「ちょ、れーじた……!?」
「っ、てて……つうかアンタデカすぎんだよ、すげームカつく……」
痛いとかそんなことよりも、とりあえずこの兄ちゃんは馬鹿なんだろうか。
足、わざわざもっていってくれなくてよかったのに。
「れーじたん!聞いてるぅ!?」
「きーてない。黙って担がれて。いいだろ、担いでるだけなんだから」
筋力だけはあって助かったな。まぁおニイさんが軽いのもあるんだろうけど。
見た目からしてほっせぇもんな
「……なんでこーいうところはかわってないのさぁ……ずるいよ……」
「あ?何?」
「なぁんでもー」
(違うけど一緒。一緒だけど違う)
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