会話手段
(それにしてもこのまんまじゃ会話できねぇな)
まだ何かを言ってくれているようだが、俺は首を傾げてその話が何も理解できていないことを動作で伝えることしかできないのだ。
喋れなくはないにしろ、さっきので英語もうまく通じないということがわかった以上は仕方ない。
俺の親の代わりになってくれた人は日本人だったけれど、あの人たちはずっと英語だったからな
「あの、傷、平気ですか?」
何を言っているかは、やっぱり真剣に唇の動きを見ても理解はできないが、その女子は自分の腹を指さしていた。そこは丁度俺が怪我を負った場所。
多分、大丈夫かどうかを聞いているんだろう。だから、大丈夫と親指を立てておいた。
元々表情が無いほうなので、無表情のままだろうが。
「Shuria! Or alive!?」
「!?!?」
さて、補聴器もなくしているしどうしようか、と迷っていたら、ドアががらっとあいて、まさかの見慣れた顔がひとつ、飛び込んできた
奴はちゃんと英語で話しているようで読唇ができたから、手話で返しておく
【見てわかるだろ、生きてる】
「This, as you of hearing aids」
【お前がもってたのかよ、迷惑め】
オレンジの髪の眼帯男は俺の補聴器を、俺へと差し出す。遅いんだよ殺すぞ。と思いながらも慣れた手つきで補聴器をつける。
あぁ、やっと音を拾ってくれた。
「あの……?」
「……I can't speak Japanese」
その女子から発せられた言葉、は、聞き覚えがあった。俺を拾った親の母国語。
日本語とかいうもの。ただ俺は生粋のアメリカ人ゆえに全然わからないけど。
それに補聴器さえつければ俺もそこそこちゃんとした声量と発音ができるのだ。
この女が英語を理解できるかは置いておいても、だ。
「あ、そうなんですね……えっと……I can't even speak English……?」
これであっている?という具合に流暢ではない英語を耳にした。どうやら英語は話せないらしい。困った。
俺は日本語は1からわからないし、多分それはこのオレンジ頭の眼帯も同じこと。
「……Got in trouble.」
「え?」
「……困った、ってよ」
「柊先生!英語わかるんですか?」
「あぁ、それぐらいな」
俺らの知っている、ヒイラギさんではないが、その人を見てオレンジ頭のアホは盛大に馬鹿面をしていた。
ただでさえこいつは馬面の鹿のような顔なのに。
「What's you are name?」
「……Shuria=liar」
「Cain=arraiv!」
馬鹿だからなのかカイン(オレンジ頭)はヒイラギさんのことをもうややこしいと判断し、考えることを止めたようだ。まぁ俺もやめたけども。
「……I'm Hiragi=mitsuda.She is Yui=Kusanagi.」
ヒイラギさんに自己紹介されてその女は慌てて頭を下げる。
なんだっけな。日本の奴がするって言ってた……
「……オジギ……?」
「oh!!Japaneseオジギ!yeah!」
「……Shut up」
あまりにうるせぇからカインを目と黙れと言って黙らせておいた
(通訳ねぇとこれは困ったな)
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