切り裂いてばいびー

あまりの異常な空気にやっと和んだ月人達3人も思わず、その方を見る。
樹乃はあまりの恐怖にか宋壬と月人の後ろへとそそくさと避難した。

柊やネメシスですら、手出しの許されないような空間で、まるでお互いの傷を抉るように、XXとXXが赤く染まった瞳で睨み合う


「「ユルサナイ、XXなんか」」


お互いに違うものを憎んでいるようで、重なった言葉で大事なところは相打ちになって聞き取れなかった。


「あーあ、これだから、人間も神様も、嫌いなんだよ。特に、人間、な」

「……君には、ワカラナイ。人間を邪険にするなんて、ユルサナイ」

「アンタにだって、俺のことなんか、わかんねぇだろ?」


まるでお互いが正論を話しているかのような押し問答。どちらも正しいとは思えない発言で、一人は苦しみ悲しみを背負いもう一人は憎しみ嫌悪を背負った意味のないようで、あるような一触即発の空気。


「どうして?どうして……やっぱり僕は、独りぼっち、だったから?」

「……独りぼっち、でいいじゃん。誰にも、自分を作られない、自分のままでいれるなら、独りのほうがいい。中途半端に吊るされ続けるよりも、ずぅーっとな」


まるで正反対のことを言い続けてお互いの傷を抉るその様は見ていて、理解ができない。
一体、二人が何のことでここまで言い合っているのか、話がかみ合っているようでかみ合っていない、この会話に下手に止めに入れる気はしない。と、ただ眺めるしかできない、他の神々。


「もう独りの時間なんかイラナイのに!!何もできない無能な神になんか……っ」

「あーあ、つまんねぇ。悲劇の物語なんて、俺好きじゃないし」


青年の悲痛の叫びを聞いても、少年はニヒルと笑ってその物語に終幕をつけてやろうと、赤い目で見下すように笑った。


(俺を壊したのは、俺以外のみーんななのに、なんで、俺は壊し返しちゃ、いけないの?)

(そんなのはおかしい。俺にだって、心があった、のに)


(僕がこう生まれたから、捨てられて、嘘で生きていかなきゃいけなくって。独りぼっちで、ずっとずっと生きてきたのに)

(何も持ってないフリをした君にはちゃんと、"愛のある家族"がいるなんて。嘘つき)




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