白黒マーブル

「え、何、やっと帰れんの」

「おチビさん2号ってばそんなに僕と離れたいのぉ?」

「全力で離れたいです」


そんなことを言い合っている??と冷慈や悪戯から逃げている哀詞とそれを追うイシス、未だにホワホワとしたオーラを漂わせながら話し込んでいる宋壬と樹乃。
そして、全力で恐がっている命と明らかに不機嫌丸出しの彩詞。
各々の状況を見ながら、柊は呆れたように笑った


「こら、離れがたいな全員」

「そうだね〜!センセー、楽しかったよー!」

「そうだな。俺も、楽しかったぞ」

「ん〜!いつ聞いてもイイ声!」

「そらどうもな、美人教師」


なんやかんやと騒ぎながら箱舟へと足を進める。途中、こちらにきていたグルーガンとモリガンとも遭遇し、結局大勢で。


「それじゃ、ユイちゃーん、こっちのハデスもまたねー!」

「ありがとうございました!」


自分たちとは違う世界の恋人へ、軽く手を振って、別れを告げ、箱舟はふわりと浮いた。
そして、そのまま、異世界の二組を送るため、動き出す


「もう、お別れだねモリガン」

「縁があればそのうちまたあうだろう。遠慮したいが」


「センセー!ばいばい!」

「あぁ。そっちのハデスにもヤンキーがよろしく言ってたって伝えてくれ」

「おっけー!まかせてー!」


「はよ帰れ!」

「えー、つめたーい風神〜」

「俺の体温は36度5分です」

「そういうことじゃないしぃ」


「宋壬、もうあえないのか?」

「……かもしれないね。でも、俺、樹乃ちゃんのことは多分、忘れないよ」

「多分じゃなくて、忘れるな!忘れたら怒るぞ!絶対に怒るぞ!!」

「……ふふふ、わかった」


「あの、命く……」

「うわぁあああああごめんなさいごめんなさい!!」

「……」


「またな!哀詞!」

「へーへー。元気でな」


お互いにそれぞれが言葉を交わした直後、景色が反転していつもの自分たちのいた、箱庭へとあっさり戻っていた。


(戦争の女神のいるほうには白い烏が、平和の神がいるほうには、真っ黒な鳩が迷い込んだ)

(白と黒は、交わって、お互いを忘れないと誓うための烏と鳩)

fin

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