平凡2と拒絶


「……ここ、どこだろう」


川のせせらぎの聞える、森と言うよりは林のような地帯で、茶髪の大人しそうなどちらかと言えばかわいい容姿をした少年が、歩いていた


「っ……!」

「……?今、なんか音……」


影から、ガサガサっという何かが動くような音がして、そちらを向けば、きちんと見えはしないものの、誰か、同い年くらいの人間がいることはわかった


「……あの」

「ひぃい!」

「え。あ、大丈夫ですよ?俺、迷っちゃったんです。貴方もですか?」

「っ……あ、あぁ……」


自分に害を加えないということが分かったからか、その綺麗な顔を半分隠してしまっている少年はおずおずと姿を現した


「一緒に、校舎まで行きませんか?俺、ちょっと、方向音痴なんです」

「……俺も、別に得意ってワケじゃないし、こんな左右反転した場所でまともに地理がわかる、わけでも……」

「そう、ですよね……。それじゃあ、俺の友人が俺を見つけてくれるまで、ここでお話しませんか?そいつが来てくれたら、きっとすぐに帰れます。自動方位磁石ですから」


ニッコリと笑った顔は、そこらの女子よりも優しさと儚げを残していた
どうしてかは分からないが恐がっていたその少年も、逃げはしない


(この人……なんだろう、俺と同じような気がする)

(どうしたもんかなぁ〜。早く帰りたいや)



(そして自動方位磁石は仲間を探す旅に出ていた)

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