呪われた箱舟
「あ……!!皆さん!!お帰りなさい!」
全員が戻った学園長室では草薙結衣とゼウス、それから冷慈達には見覚えがある、中国神話最高神天と女禍が立っていた。
「おー、遅いぞ〜お前等」
「!!に、兄さん」
「え!じゃあアレが噂の下手物おにいさんなの!?」
「ネメシス!」
「あ、言っちゃダメだった?」
「あぁああ……」
中国神話の二人を認識した途端、柊は逃げの体制に入っていた。しっかりネメシスとハデスを盾にしながら。
双子は、驚く哀詞と苦笑いの彩詞。
冷慈はヤバイといった感情がもろに顔に出ている。宋壬とグルーガンにいたっては、特に何も思う節がないのか、いつもどおり無表情だった
「おーおー。弟〜随分派手に言ってくれたな?」
「そ、それよりさっさと用件言いやがれ!このクソ兄貴!」
「まぁ!可愛くない弟ね!」
「うぇ、いい年して何言ってんだジジィ」
「あはん?ユウジピチピチよ?」
いつもより言葉が荒い柊と冷酷に冷慈は天をジジィと呼んでいた。
このままではいつまでたっても、本題に進むことは難しいと判断したであろう、グルーガンが仕方なしに、女禍へ問いかける
「それで、女禍さんはなんのようで来たのかな」
「あら、邪魔者みたいに扱わないでくれるかしら。きたくて来たんじゃないのよ。……よく聞きなさい全員聞かないなら、命ないわよ?」
女禍のその言葉で、柊も冷慈も天も騒ぐことをやめ瞬時に元いた場所へと戻っていた。
これだけ見れば、女禍の恐ろしさも安易に想像できるな。とネメシスやモリガン達は妙に納得をしていた
「じゃあ、はい。ゼウスのおっさん。言いなさいよ」
「はぁ、結局ワシか。お前等の友人だろう」
「説明は得意じゃないのよ」
ほぼ押し付けられたような形でゼウスは呆れ呆れに口を開く
「……帰る方法を、教えてやる。最後の戯れだと思い協力し、各々の居場所へ帰るがいい。……この箱庭の、どこかに箱舟を置いてある。聞いたことぐらいあるだろう、『ノア』の箱舟だ」
まるで試すかのように、発せられたその言葉を聞いた瞬間、いきなり神化をした成人男性が二人、学園長室を飛び出していった
「え、あ!ちょ、センセー!!」
「……っ!?」
「……話ぐらい、最後まで聞けないのかあの男は」
「それにしても……二人とも、顔がとても必死だったけれど……大丈夫かな」
(雷神とフォルセティの傷を抉るか、傷を塞ぐか)
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