醜い話
「まさか神様だったなんてなぁ〜」
「……しつこいぜ?アンタ。結果オーライって言葉知らねぇのかよ」
元に戻った尊と仮面の青年と冷慈は3人並んで、もと来た道を歩いて帰っていた
「風神さぁさっき人間だって言ったじゃ〜ん」
「嘘じゃねーからな。半分は人間だし俺」
「は?半分?」
尊ですら、その言葉に違和感を覚えたのか、ジッと冷慈を見ている
いくら表面を見ようともそこに答えは隠れてはいないのだが
「……だけど、俺は人間は好きじゃねぇよ。アンタら神様も」
「ふーん?変わってるねぇ、おチビさん二号機〜」
「……じゃあ、アンタはなんでその両方なんだよ」
尊の視線はまっすぐに冷慈に突き刺さっていた
「……なんでだと思う?……俺にもわかんねぇよ、んなこと」
無意識に逃げるように冷慈は話を切り替えるべく、話題を探すも脳内は真っ白で思考が動かなかった
「……あ、そうだ」
「どぉしたのー?」
「腹、減った」
まるで宋壬のようだと思いながらも、空腹を告げる
当然、こんな海岸沿いじゃあ食べるものもないだろうが
「お気楽だねぇ」
「人生お気楽のがいいこともあんだよ」
あまりに考え込んでしまうと自分のようにドス黒くてえげつないものになってしまう、と冷慈はまた卑下で出口のない思考をめぐらせている
「あ、ほら〜見えてきたよ〜」
意図してか意図せずか、それを打ち破るように仮面の青年の声がして、思考は一気に現実に引き戻された
「はぁ、だっるい」
(早く帰ろう。なんか地味に疲れた)
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