色のある場所


「疲れたな……」

「センセーってばオッサンくさいよ!」

「そらオッサンだからな」


まるで漫才でもしているかのような会話をしながら柊はかけているサングラスを外し目頭を押さえていた


「目が疲れた……」

「センセーその角度イケメン!」

「……騒がしいなお前」

「褒めてるのにー!」

「褒め言葉じゃないのか」

「それ貶されてる気がするよ!!」

「あぁ、分かるのか一応」

「馬鹿にされてる!?」


クックックと喉を鳴らして楽しそうにネメシスをからかう柊をハデスは一歩後ろから見ていた

それに気づいたネメシスがハデスのほうへと駆け寄る


「ハデスー!ハデスもおいでよ!そんな後ろいたらコケたらわかんないよ!」

「コケる前提なのな」


柊はその場で立ち止まり二人が来るのを待っている


「……お前たちは、眩しいな。俺には縁遠い世界だ」

「またそんなこと言ってー!今流行の厨二病だよ!」

「……そもそも俺たちの存在じたいが厨二病って類だな」

「それもそっか……!」


人間の世界じゃ神などそこまで信仰されているわけでもなく、むしろいないものだと思われている
人間のフリをしていた柊はそれを知っていた


「……それに、俺が眩しいとか言ってたら本当に眩しい奴に失礼だな」


ゆっくりとサングラスをかけながら、柊はぽつりと呟いた


「ほら、話してたらもう着いたぞ」

「はやーい!センセー凄いね!頭の中に地図でも入ってんの?」

「お前よりはな」


(楽しい時間は長くは続かないのが人生のお決まり、だからな)

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