二度とあえません
「……まったく、世話が焼けますねアポロンさんは」
「ごめん、ごめんよサイサイ」
「謝るぐらいならもう少し……」
元に戻った二人と、彩詞は学園へと戻ってきていた
命は未だに怯えるよう二人の後ろを歩いている
「……あの、さっきのことは謝りますから、いい加減に……」
「ひっ!!」
「……はぁ」
これはダメだと言わんばかりにため息をつくと、彩詞は再び歩き出す
そこで命の心配をしているアポロンさえも置き去りにして。
ある程度離れたところで彼は歩くことをやめ、背を向けたまま、口を開いた
「心配しなくても、これが最後です。もう会うこともないでしょうし。……そんなに他人に恐がる理由なんか知りませんけど、いつまでもそれじゃあ、悲しいですね。貴方にはきっと、わからないでしょうし、俺が貴方のことを理解できないのと、同じで」
自分のことなど、自分にしか解らないのだからと彩詞は淡々と呟いた
その言葉自体は冷慈の受け売りだが、言われてそれもそうだな。と同意したからこその発言だった
「……サイサイ、君は、何をそんなに悲しそうにしていいるんだい?」
「……そう見えます?客観視したら俺はむしろ今自分が命くんを否定している悪党に見えるんですけど」
苦笑いでアポロンの問いへ答えるとまた歩き出す
「そんなことない、そんなことないよ!」
「はいはい。ありがとうございます」
どこの場所にいようとアポロンはその名の通り優しくて暖かい
きっと、命もまた、優しさゆえに、あぁなっているのだろうと勝手な推測をしながら彩詞は、またヘラヘラと作り笑いをした
「それじゃ、行きますかね。俺たちは元の場所に戻してもらわなきゃいけませんから」
(この二人といると自分がどれだけ醜いのか浮き彫りになる気がする)
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