平凡1とアルビノ少女

「……ここは……」


とある晴天の日。嫌なほどに晴れ渡ったその日に悲劇は起こっていた
何もかもが自分たちの世界とは左右反転したその世界にいつの間にやら来てしまったイシスが驚きを隠せないといったような表情で、歩いていた


「……誰だ、アンタ」

「!?」

「あ、悪い。驚かすつもりじゃねーけど」


そこまで身長があるわけでもない、その少年は人間の容姿をしていて、冷たそうな目とは裏腹に随分平凡な喋り方だった


「とりあえず、アンタも俺と同じだろ。その様子じゃ」

「は……ちょっと待て。どういうことだ」

「……。ここは、俺の知ってる箱庭じゃない。なんもかんもが左右反転してやがる」

「!!お前もか!?」

「……とにかく、学園長室行くぞ。きっと、パラレルワールドかなんかなんだろ……どっちにしろゼウスのじじぃぐらいは……」

「ま待てニンゲン。ぱられる、わーるどって……」

「自分たちのいた場所とは似て非なる次元。多分、俺とアンタの世界もそうだからな」


焦りもせずに事態を推測し、イシスを連れてその場から離れて、左右反転した、その世界へと、一歩一歩、ゆっくり、踏み入れていく


これが全ての悲劇へと引鉄へとなるとも、誰も思いもしなかった


(現在と同時刻。他の神と中途半端な存在もまた、出会いを果たしていた)

(言霊の女神と鍛冶の神は、何も知らないまま、その最悪な世界へ誘われた)

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