不慣れ対応

「……行くか」

「あぁ、ロキどこだろうな……」


学園長室から出たものの、どこへ行けばロキがいるかなんて検討もつかずに哀詞とイシスは校内を歩いて探索をする
全てが左右反転していて、まだ、他の泥人形もいないせいで、辺りは静まり返っている


「……」

「……」


特に話すことがない、というたったそれだけの理由で哀詞は口を開かずにイシスよりも多少先を歩いていく


「……なぁ」

「なんだよ」

「女を置いて歩くとはどういうことだ?」

「……あ、あぁ……。慣れてないんだから仕方ないだろ」


軽いため息をつき哀詞はイシスを待つために少し離れたところで足を止めた
満足げにイシスが追いついて、逆に先を歩き出す


「……あんま急ぐとコケー……」

「!?」

「……言わんこっちゃねぇ。ほら」


さっき慣れていないと言った割には自然的な流れでイシスへ手を貸す
こういったところを無意識でするあたり、質が悪いんだろうかとイシスは一人思いつつ、哀詞をじっと見つめた


「……あのなぁ、あんま見るなよ減るから」

「減る?ナニがだ?」

「減るんだよ。俺の精神が」

(まず女と居るってことじたいが珍しいっつうのに……あー、彩詞と動くべきだったか)


若干の意識から、気まずさを覚えた哀詞は頭をかきながらあさっての方へ視線を向ける
途端に背中に何かがぶつかってきたのか、ドンッと衝撃がした


「……離れろ」

「ロ……ロキじゃ、ない。私は、あんな……ロキを知らない」

「は?」


いつの間にか、哀詞の目の前にどこからか神化した状態のロキが現れていた
咄嗟に距離をとるものの、そのロキからは意思というものすら感じ取ることができない状態だった


「……なぁ、アンタ、何の神様だよ」

「わ、私か?私は魔術……っておい!」

「……魔術、か。面白いじゃん」


(つまり俺とコイツでバカロキを止めればいいんだろ?止めれば)

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