命ある限り


「……。えっと、名前……」

「ふん、我に名のらせるなど、やるな貴様……」

「うん、俺は、日白義宋壬……」

「おい!お前さてはマイペースだな!?」

「?」


いつもの己のペースで自由に話す宋壬はいくら雰囲気が似ていても月人とは別人だと突きつけられる

宋壬のほうは一体何を考えているのかわからないようなミステリアスな雰囲気をかもし出しているものの、実際考えていることなど、空腹をどう凌ぐか、ぐらいなものである



「私は、戸塚樹乃だ。これで満足か!」

「うん、樹乃ちゃん……覚えた」


これ、食べる?と思い出したようにどこからか綺麗な飴玉をとりだし、宋壬は樹乃へと見せる
途端に輝いたその顔を見て、珍しく頬が緩んでいる、ような気がする


「いいのか!い、いやでも、さっきも……まるで私を餌付けするかのように!」

「……美味しそうに食べてくれたから、またあげる」

「!!そ、そういうことなら、もらってやる」


どこぞのツンデレ少女のようにフンッと飴をとる姿を見て、宋壬はポスポスと樹乃の頭をなでていた


「!?な、なんだいきなり!」

「……これ、かわいいね」

「……」



宋壬が樹乃の髪飾りを眺めてそう呟く
それは樹乃の残りの命の期間を示すもの


「……私は、この枷の葉が4枚になればー……」

「……。いいなぁ。俺も死にたい」

「え!?」


宋壬の発言に驚きが隠せないといった表情で樹乃が困惑をしている
それを見て、宋壬は困ったように少しだけ笑ってまた頭をなでた


「……じゃ、月人さん、探そう?」

「あ、あぁ……あ!あれうさまろじゃないか!?」

「あ……。うさまろ、待って」

「ま、待て!私もつれてけー!」

「あ、ごめんね……。行こっか」




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