暴走族の血と二重人格
「ほー、そりゃいい神罰の女神様だな」
「おー!恐がられない!新鮮!」
「そりゃ俺の兄貴のがとんでもねぇ下手物だからな……」
ネメシスと柊は二人で、校外へと探索をしに行きながらお互いの知っている限りの情報を出し合っていた
それもいつしか、自分たちの話へと切り替わり、この状況とは打って変わってお互い楽しそうに話しているのである
「それにしてもいないねー!ハデスー!出ておいでー!こわくないよー!ハデスハデスハデスー!!」
「いや、お前それじゃ余計に出てこねぇだろ」
「えー!出てくるでしょー!名前呼ばれたら!ほら!保健のセンセーも!そのいい声でご一緒にー!」
そのネメシスのノリを見て、柊は若干呆れ顔で深いため息をひとつついた
(おいおい、麗菜みてーなノリで話すなよ……。俺の姪っ子かお前は)
似て非なる自分の姪とネメシスのノリが同じだということをさとり、半分ヤケ気味に柊は声を張り上げる
「出て来いっつてんだろうが!!!!めんどくせぇことしてねぇで出てきやがれ、ぶちくらすぞ!?あぁ!?」
「え!?え!?」
サングラス越しでもわかるほど、キレたその目とその声は先ほどまでの冷静さがひっくり返されたような、衝撃だった
「くらす!?くらすの!?誰と!?だめだよセンセー!怒ってんのかプロポーズなのかわかんない!」
「おい、これは方言だ。殺すぞって意味で……ってお前、ひっかかったのはそこか」
「い、嫌!色々気になったけどさ!急に人が変わるんだもん!」
「普段はださねぇだけだ。あんな声量出すのなんかめんどくせぇ……ん?」
元、暴走族に入っていたらしい柊は本性を惜しむことなく曝け出していた
なんだかんだ、ネメシスのことを気に入ってるらしく、害がない。と判断した結果の行動だった
「どしたの?」
「おい、アレ……」
柊の指差す先、黒い闇の中、赤く光る眼がただじっと、2人を見つめていた
((まさか本当に出てくるとは))
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