語られた真実
「お前たちをここへ呼んだのは他でもない、ワシだ。……わざわざ異世界から呼んでまでなのだ、それ相当の自体だと思ってくれてかまわん」
「はぁ、厄介ごとか」
「なんだろー?楽しそうじゃない?ねぇ雷神さん!」
「どこがだ美人教師」
「美人!美人って言われちゃったー!いい声で!」
「そらどうも」
「お前たちは少しは焦らんか」
「「んな無茶な」」
酷く落ち着いている柊と、いつも通りのネメシスは、ゼウスからの突っ込みを聞いても焦るということはしなさそうだ
それとは反対にイシス、樹乃、命、彩詞、哀詞、冷慈は表情に感情が丸出しだった
「それより、早く本題に入ってくれないかな。俺たちだって自分たちの世界に戻ることが最優先なんだか、厄介ごとは早く解決したほうがいいだろ?」
「……私も同意だ」
グルーガンとモリガンは焦りの色すら見せない表情で、話を急かした
そして、ゆっくりと語られる、真実に、全員が戦慄をした
「……実は、アポロンさん達が大変なんです……。理由はわかりませんが、急に自我をなくして暴れだしてしまって……」
「……このままでは、人間も愛も学どころではない。箱庭がー……いや、世界が消えるかもしれん。この世界が消えれば、どこかしら繋がっているであろうお前たちの世界も異変が生じる可能性がある。……そこで、だ。別世界の彼奴等と恋仲関係にある、お前たちを呼び出し、彼奴等を止めてもらおうとー……」
「お、俺人間なのに……」
命が小さな声で、そう呟いたのを、彩詞はしっかりと、聞いていた
そうか、この人はただ人間か。少し前の俺たちと同じなのだ、と
「……大丈夫ですよ。俺でよければ、ずっと一緒にいます。ここを出るまでですけど。それに、こんなんだけど、一応、神様ですし、守って見せます」
「……」
どう対応をすればいいのかわからないといった表情で命はただ少し小さくうなずいていた
「月人が……暴れてどうなるのだ?」
「……うさまろが飛び跳ねる……?」
「!!」
樹乃と宋壬も少ないながらに会話をし、宋壬の回答に樹乃は少しだけワクワクさせたような瞳をした
「うさまろが……モフモフが……!」
「うん、モフモフしててかわいいよね」
「お前もそう思うか!?かわいいんだ!」
「うん」
そうして、珍しく、宋壬の瞳には決意が宿っていた
(俺にできることはー……きっとただひとつ。)
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