Prologue

『そうそう、あんたにイイコト教えてやるぜぇ』


響いた声に何も知らずに受け入れた俺はあの日以来何かを一つずつなくしている。
今日は何がわからなくなった?

それすらわからない。


『ねぇーちょっとさぁ、俺の  くん返してくんなーい?』

「……俺に言われても困るんだが。奴が勝手に」

『まぁそうなんだけどさぁ〜?俺もあいつらも困っちゃってぇん』



そうしているうちに目の前で、まずはXXが何故か死んだ。
返り血を浴びている俺は何も覚えては居ないが、どうやら俺がやったらしい。

その次が、目の前で新しくできた、XXが、XXを殺す瞬間。
どうして、そうなったのか、今だに微塵もわからないけれど、どうやら俺が発端らしい。


(毎度毎度、どうしたもんか)


弱ったな。と今日は神話の世界をうろついた。
日本神話の世界は割りとドライなもんで、特に友情らしきものは見当たらない。
ここを覗いては。

神話の話上は接点はないが、悪神で有名な兄弟
仲がいいわけではない。とりあえず何かと"俺の中"に興味があるようで若いそいつらはやたらとウザイテンションで話しかけてくる。
焦がすぞ


「あーねぇねぇー、雷神ーこう、フッと意識飛ばしてみて☆」

「はぁ?」

「会いたいんだって!俺も!」

「はぁ……?」

「だーかーら!」


そんな馬鹿げた会話を繰り広げながら、今日も上から現代を見下ろす。
殺人事件も強盗も耐えない人間の小汚い世の中。

まぁ、だから面白いのかもしれないが。


「雷神ってば、最初の頃あーんなにバラバラだったのに上手くまとまっちゃって〜」

「……最初?」

「あ、ごめーん忘れて〜!」


奴がいったい何を言っているのかはイマイチわからないが、俺は長年生きたせいか、生まれたときを忘れた。
記憶の飛びようがおかしいのは事実だ。


「……。めんどくせぇなぁ」

「ドライだねー雷神ってばさー」

「八十神、兄弟はどうした」

「二人とも人間んところで悪戯してる」

「……精がでるな」



そう話をしていると、俺たちのいる日本神話のところへ知った顔のオッサンがやってきた


「よぉ弟ー元気かー?」

「……ここでは弟設定じゃねぇぞ天」

「はっはっは、そうだったな!」


相変わらず愉快なそれに適当に対応をする。


「お前に問題です!」

「はい」

「9つの神様の集合した日本の神様の名前って、なーんだ」

「……そんなもん、いたっけか」


真剣に記憶を引っ張ってみても俺の知り合いにはまずそんな神様なんてもんはいない。


「……しらねぇのか。だったら!お前には、ちょっと俺やギリシャのゼウスの手伝いをしてもらいます!ささ、こっちですよー」


グイグイと押されて、日本神話から別の世界へと連れて行かれる。
適当に八十神に手を振っておいた。


「……なんだ、ここ」

「ギリシャのゼウスの作った箱庭だ!」

「なんで俺が連れてこられた」

「ここで、イロイロと精神を鍛えるように!」

「わけが、わからん」


(誰かもう少しまともな説明役をよこしてくれ)

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