初再会
「冷慈ー!!」
「あー?」
福岡県立狼神高校。そこが俺の入った高校だった
県でも有名な馬鹿校で、いるのは不良かヲタクかみたいな感じのしかいないけど
生まれてこの方勉強はまぁ普通で、友達にも恵まれた俺は、友人が揃ってここを受けるっつうんで、ひっついてきたわけだが
これが、なんかひっついてきてしまったからか、微妙に楽しくない
もちろん、他にも友達はできたけど、俺の思う青春じゃなかったというか、なんというか
よっていつも、なんとなく一日を過ごしているわけで
「さっきさ、哀詞が呼ばれたんだけどさ、今日さ転校生来るらしいよ」
「……ふーん」
この時期に転校生が来るのは珍しいけど、やっぱり興味が引かれるわけもなくいつも通り話を聞いているのかわからないような曖昧な返事を返す
「どんな子かな?女の子だといいなー」
「じゃあ俺は男子に掛ける」
友人の雨宮彩詞が天然タラシよろしく女子がいいだとか言っているので、俺は正反対の男子を希望しておく
めんどくさそうだ女子とかだったら
現に、クラスの女子はめんどくさい
「おいお前ら。席に着けー。転校生だぞ」
担任がである俺の叔父さんがいつも通り若干やる気なさげに入ってきてそう告げる
あぁ、本当にいたのか。ガセネタかと思った
「…………」
転校生は、俺によく似た容姿の男子
よっしゃ。男子だ。と思いつつも、その男子になんだか違和感を覚えてしまう
どこだろう、どこかで見た気がする。と必死に記憶をたどってはみるものの、さっぱり思い出せない
ただ、目が、離せない
「戸塚尊。よろしく」
本当に軽い自己紹介だけをしてそいつは俺の斜め前の席に座って、隣の俺の友達の宋壬に話しかけている
(なんだろう……絶対知ってる気がすんだけどな)
モヤモヤとする何かを押さえ込んで、机につっぷした
「おい満田ー。寝るな。廊下に立たされたいか」
「俺だけやないやん!なんで俺だけ!?家族やけね!?」
「ちげーっちゃ。俺は甥と思ってもねぇ」
「ひでぇ!」
俺と柊さんのやり取りを聞いてクラスメイトが笑っている。うん、これもいつも通りすぎて俺には面白くない
(ん?)
転校生がチラっと俺の方を見たのがわかって、違和感を覚えつつも、俺は俺でチラっとどころかずっと見返せば、そいつは俺に気づかずに隠れるようにしてスマホをいじりだした
おい、柊さんに怒られろちゃ、お前
「満田〜、ご熱心に転校生に見惚れるのはいいけどいい加減座ったらどうなんだお前」
「は、はぁ!?ちち、ちげーわ!!人をホモにすんなおっさん!このクラスの女子の大半に俺が餌食にされんだろーが!」
「されてしまえ」
(休み時間になったら俺も話しかけてみよう)
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