遊びたいお年頃

「わ、私……卒業してもお2人の傍にいてもいいでしょうか?」


草薙のいきなりの発言に思わずもっていた箸が手から滑るように落ちていった
多分、口もあんぐり開いているだろ
それぐらい俺の中で衝撃の走った言葉だった


「何夢みたいなこと言ってんだ。そんなことできるわけねぇだろ」


尊の意見に思わず俺も頷いてしまう。確かに今のように3人でいれるならそれこそきっと楽しいことこのうえないんだろうが、あまりに現実味がない
俺はまぁ、もう風神になってしまったからともかく、草薙は人間だ
どう考えても脳が現実だと思ってくれない


「尊さんたちの世界へ私も飛ばしてもらえるようなんです」

「…………………………」

「……あ、そうなのか……」


やっと搾り出した声はいつもと変わらないトーンだった
なんだろう、嬉しいのに変わりはねぇけど、現実味を帯びない

草薙は俺の普段どおりのリアクションと黙りこくっている尊を見て不安になったのか下から覗き込んでくる


「あの……尊さん……?冷慈さん……?」

「やったぜ!!!最っっ高だ!!!」

「おわっ」


あまりに嬉しそうに叫んだ尊の声を聞いて驚いた。いや、分かるけども
草薙も驚いたように眼を丸くしている


「ああ、すまん。急に大声出して。だっておまえ、夢みたいなこと言うから」

「……一緒に行ってもいいんですか?」

「とーぜんだろ!おれもおまえと一緒にいたい。一緒にきてくれ!」

「はい!」


その後もワチャワチャと楽しそうに話す2人を俺は弁当を食いながら、眺める
いつもの光景って感じだ。あいつ等の楽しそうなところを俺が眺めて満足しているっていう

いつもと少しだけ違うことといえば


「冷慈さん!!どうしよう!おれ、すっげー嬉しい!」

「おうおう、俺もだ。イマイチ実感沸いてこねぇからリアクション薄いけどな」

「あ、そうだったんですね……てっきり断わられるのかと……」

「馬鹿か、断わったりしねーよ」


俺がその2人の間にちゃんといることだろうか
真ん中で、2人の頭に手を置いて、数秒止まってから全力でワシャワシャとしてやる

こうやって3人でずっと馬鹿がやれるのかと思うと今ままでよりも、ずっと楽しいだろう



「うーっし!じゃあ、教室まで競争なー!負けたら帰り、寮まで背負ってくってことで!」

「おーし!負けねぇぞ!」

「私だって負けません!」

「よーい、どんっ!」


「「あー!!!」」


(はい、俺の勝ちー)

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