俺in the 体育館裏

あれから、ゼウスから校内図をもらって、自分の寮の部屋に戻れば割と広い綺麗な部屋だった
幸いな事に台所までついていた。
これで食堂には行かなくても、ここで飯作って一人で食えるな。と満足した


俺が風神の後継者だとかは、全くもって信じてはないが、不意に外の風に当たりたくなった
別に、俺が風神だからとかじゃない。元々好きなだけだ
海に行ってたのもその一つ。
風が気持ちいいから
それも、強風になればなるほど、俺は好きだった


「…制服、着て教室行けっつってたけど…面倒だな。どうせあの女子いんだろうし。…いいや、どっか行くか」


制服にも着替えずに、元から着てきた私服のまま、外へと出て行く。
やっぱり、外の風はいい。おまけにちょっと悔しいけど、この箱庭ってのは、どうもいる人間は呼び出された神様だけらしい。
それと、人間代表のあの女子と、なんでか風神候補にされている俺
だからすれ違う率も少ない。人嫌いの俺には好都合だった



一体何人の神様ってのが来てるのかは知らないが俺は神様っての全般にいいイメージは持っちゃいない

会わないほうが得策だ

そう考えつつ、ひたすら歩いていると目の前に体育館らしく建物が見える
当然、俺の行っていたボロ高校のものとは規模も綺麗さも違う
その背景は、綺麗な緑が広がっていた


「…いい風、吹きそうだな」


案の定、体育館裏は、綺麗だしいい木陰にもなっていて、サラサラと俺の襟足がなびく程度の風がある
こうも風が気持ちがいいと、ちょっと眠くもなってくる


「…まぁ、いいか別に誰が来るわけでもねぇし」


実際問題、体育館裏なんて滅多なことがないと人も来ないだろうと踏んで、俺はそのまま眠るという選択肢を選ぶ事にする

疲れた脳みそも休ませよう、そうしよう


「…はぁ、疲れた」


そのまま、木陰でウトウトしそうになっていたときだった


「あの…」

「…ん?」


まさか誰かに声をかけられるとは。それにも驚いたが、目の前にいた人物にまた驚いた


「…あ、さっきの女子」

「え、っと、はい。草薙結衣です…。あの、お名前…よかったら…同じ人間ですし…」


心細いことでもあったんだろうか、その瞳は疲労と寂しさを残していた
流石の俺でも、こんな真面目そうな優しそうな女子に毒は吐かない


「満田冷慈。よろしく、草薙」

「はい…!あ、あの、冷慈さんは、教室行かれないんですか…?」

「ん?制服、着てねぇしな。眠ぃし」

「今からでも、一緒に行ってくれませんか…?一人だと心細くて…」


この様子だと、俺以外の多分、神様かなんかを誘って断わられてきてるんだろう
ものすごく、申し訳なさそうに、恐がった様子で告げて来た


「…。わーったよ。着替えてくらぁ」

「!!ホ、ホントですか!?」

「おう、だから、あーっと、そうだな…寮の前で少し待っててくんね」

「わかりました!!ありがとうございます!!」


正直、溜息をつきたい気持ちを抑え込みながら、草薙と寮まで歩いて戻る
幸い、まだ時間はあるわけだし


「そういえば、冷慈さんはあそこで何をしてたんですか?」

「昼寝しようとしてた」

「お、お邪魔してすみませんでした…」

「大丈夫だけどさ。わり、じゃ、着替えてくっから」

「はい」


そうして、一人、自分の部屋に戻って真新しい制服に腕を通す
流石に、こんなクソ真面目なブレザーは着たくはないので腰に巻いておく
なんか言われたら羽織れるように
制服にも着替えたところで、半分はうんざりしながら、待たせてしまった草薙のところに行った

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