悲痛の叫び
「もう、いいんだ!もういいんだよ!これ以上俺は耐えるなんてごめんだ!」
「冷慈さん!!」
黒い感情に飲み込まれ完全にあの悪夢のときの、妖怪の姿になった俺は吐き捨てるように言って、上空へと舞い上がる
それと同時に、今までにないほどの風圧で風が吹き荒れた
学園の窓ガラスの割れる音が異常なまでに聞えてくる
「あっはっは!ざまぁねぇなぁ!これだから神も人間も、嫌いなんだよ!!」
何がおかしいのかは自分でもわからないが、逃げ惑っている生徒達の様子が非常に滑稽で愉快に思えた
そうだ、もっと、もっと喚いて、苦しむといい。目の前で仲間が泥に還るところを見て絶望すればいい
こんな世の中、必要ない
「消えろ、早く、消えればいい」
俺はまるで、神様連中を見下すかのように、嘲笑っていた
「一体何事だ!」
「ゼウスさん……!冷慈さんが……!」
「何?……完全に、妖怪と化しているのか……!トト、大至急生徒へ避難命令を出せ!」
「あぁ」
未だ止むことのない暴風に生徒が避難をしているのが見える。馬鹿だな。風なんだからどっからでも吹くに決まってるのに
「……死ねばいいのにな」
「冷慈!!何してんだお前!!」
もう一段階風圧でもあげてやろうかと思ったときだった、俺の姉ちゃんが神化した状態で、白虎に乗って止めにきていた
「うるせぇんだよ、見りゃわかるだろ?」
「何があった!していいことといけないことの区別すらつかないのかお前!」
「…………」
あまりにこざかしく感じて、羽衣で、姉ちゃんを叩き落とした
「!?」
さかさまに頭から落ちていく姉ちゃんを見て、いい様だな、と思っていたときだった
ディオニュソスが間一髪で姉ちゃんを受け止めていた
チッ、面白くない
「麗菜ちゃん、大丈夫!?」
「……っ、それより、冷慈が!!」
「ちょっと!その体じゃ無理でしょ!」
「んなのやってみないとわかんねーだろ!離せよディディ!」
そう下で言い争いをしている二人を無情で見つめているとぽつり、と雨が落ちてくる
(……雨?)
俺がいるよりも、上の位置で青龍が暴れていた。ルア兄だ、その横にはトールもいる
「冷慈、しっかりしろ!」
「……」
俺を感電させて大人しくさせるきなのか。雨に濡れている俺に雷を落とせば下手したら命までさようならだ
いや、それでいいのか。今や俺は神様でも人間でもない妖怪という存在なんだ
殺されても不思議ではない
「ま、待ってください!冷慈さん!避けて!お願い!!」
下から草薙の悲痛の声が聞こえてくる
心配しなくてもそう安々と当たってやるつもりなんてないんだけどさ
→宿命ルート
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