俺is 低血圧


その後、合宿は特に問題もなく順調に行われていた。
朝尊が一番に起きて、次が草薙で、そのあとが俺で最後が月人。もうこの並びも定着したようだ

そっから今度は夜寝るまでを4人で過ごす。最近では俺も空手だけじゃなく剣道をするようになっている
なんか剣道の練習しながらの共同生活みてーで、やっぱり、楽しいと感じることが増えた

毎日筋トレをしている成果か俺の持久力もボチボチあがってきているようで、なんだかそれだけで、達成感を覚える

友達ってこういうもんなんだな。と日に日に俺の枯れた心に染み渡っていく


今日する分の筋トレやら空手の移動稽古を終わらせて、男3人で台所に立つ
最近は尊も月人も前よりは手つきが慣れてきたようにも見える
たまにぶっとんでたりもするけど、そこはご愛嬌ってやつだ


「あ、あにぃ!お湯だから気をつけろよなっ」

「冷ましましょうか?」

「いや、冷ましたら水になっちまうから!お湯じゃないと茹でらんねぇよ!」

「そういうものなのでしょうか」


戸塚兄弟の漫才を聞いて爆笑しながら俺は同時進行で片づけを始める
料理上手は片付け上手っていうだろ?


「ただいま。戻りました」

「おかえり。めしならもうちょいかかるぜ」

「おかえり草薙」

「はい。私もお手伝いしますね」


帰ってきた草薙も交えて4人で飯の準備をする。こんなことを俺が自分からするようになるなんて、箱庭にきたときは思いもしなかった
ずっと、一人で、それでいい。と思ってたのに


「帰ってくる途中に見えた夕日がとても綺麗だったんです。学園から見える夕日よりも綺麗に見えました」


よほど感動したのか、草薙が興奮気味に話し出す


「山と学園で違うもんなのか?」

「山から見る月も格別に綺麗です。眩しくて、輝きが違います」

「へぇ。毎日月見てるあにぃが言うんだから、ほんとに違うんだろうな。なら、朝日も綺麗かもな」

「あぁ、朝焼けはすっげー綺麗らしい」


尊の朝日は綺麗かもという言葉に付け足すように俺も口を開く。見たことは無いが、元の世界でも、朝日からなる朝焼けは素晴らしいもんらしい


「朝日も見てみたいです」

「なら、明日の朝見に行ってみるか?」

「行きたいです!」


嬉しそうに尊の提案に返事をした草薙はどう見ても、恋する乙女とかいうやつだった
はい、ご馳走様でーす。と言いたくなる衝動を抑えて軽く微笑む
尊のほうはきっと、草薙の気持ちに気付いてないんだろうけど


「そんなに見てぇのか。んじゃ、決まりな。あにぃと冷慈さんは?」

「俺は寝ています」

「俺も起きれねぇな」

「だよな」


月人は朝日が登ると同時に寝てしまうし、俺はただでさえ、低血圧のせいで朝が苦手だ
まあ仕方ない。というのもあるが、一番はこの2人だろ
きっと、2人っきりのほうが、いいこともあるだろう


「俺たちのことは気にせず、2人で見に行ってください」

「わかったよ、あにぃ、冷慈さん」


尊が少しだけ寂しそうに納得をした。なんだろう、悪いことをしてしまった気分に駆られた


「なら、後で4人でお月見をしませんか?月を見る時なら月人さんも起きていられますし、冷慈さんも起きてると思うので」

「それいい考えだな!あにぃ、冷慈さんそうしようぜ」

「2人がそうしたのなら」

「おう、それはいいな。楽しそうだし」


そして、月見を約束通りして、ワイワイと会話をしてから、その日は寝ることにした

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