VS草薙


「よーい、はじめっ!」


今度は尊の声で、試合が始まった
流石に、相手は女子なので俺は若干の加減をするが、もちろん、それはバレないようにするものである
いや、まぁ、外から見ている戸塚兄弟にはバレるかもしれないが


「っ……!?」

「痛いか?こんぐらいで?」

「い、痛くないです!」


俺の挑発の言葉に若干ムキになって、草薙が攻撃をしかけてくる、のを躱した
受け止めるときに下がる癖があるなら、受け止めずに躱してしまえばいいだけの話

躱すのも技の一つだ

若干の加減をしながら、草薙に怪我を負わせない程度で攻撃をしかけたり、躱したりを繰り返す


やっと終わったころには、草薙は、若干の息切れをしていた


「おい、大丈夫か」

「す、すみません、大丈夫です」


よっこらしょっと、腰を下ろして、俺も息を整える。流石俺の持久力のなさよのう
そんなことを思いつつも、休憩と言わんばかりに俺は座ったまま眠りこけようとしている

疲れるとすぐこれだ。眠い。とても眠い、これはまずいぞ。初っ端から飛ばしたせいだろうか
始まってそうそう寝るわけには……


「…………」

「冷慈さん!!!」

「う、わわっ!」


完全に眠りこけようとしているとき、耳元でデカイ声で名前を呼ばれて飛び起きた
おかげで眠気は綺麗さっぱりだ


「今から、特訓なんだからな!草薙は走りに行くし俺は素振り増やすんだ!」

「え、あ、そうか……俺は背筋してるわ……」


すごい勢いで話をされて、思わず後ろに下がりながら聞いた
近いですよ、尊くん。非常に近いです。これは顎をクッとだしたらキスのできる距離だ
いや、しませんけども


「……なぁ、近いと思いませんか、尊くん」

「え……あ、あぁ!その……っ!」

(…………綺麗な、顔してんな。周りが言うほど怖くねぇし……)


時間にして多分10秒くらい。じっとお互いを見つめてただけ
尊は地味に照れたのか赤面して回れ右を繰り出していた


「……背筋、すっか」

「あ、私、走ってきます」

「おう、気を付けてな。無理はしないように」




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