付き合いだした早朝練習
「なぁ、気になってたんだけどよ、おまえのそれって何なんだ?」
あれから、時たま俺は2人の早朝練習に付き合うようになっていた
自分自身が持久力がそこまでないからそれを補うためでもあるわけだけども
尊が指差したのは草薙のあの剣のペンダントだった
そういえば、最初のときにゼウスになんかしてもらってた気がすると微かに記憶を巻き戻しておいた
「このペンダントですか?元々は私の実家の蔵にあった剣で、偶然見つけたものなんです」
「ふーん。それ、この前みたいに剣の形になんのか?」
「えっと……はい。ちょっと待ってください」
するすると草薙の手の中で元の大きさに戻るその剣を見て、すげーな、と素直に思う
「これでいいですか?天叢雲剣って言うんですよ」
「聞いたことねぇな。でも、やっぱいい剣だな」
「へー、尊が言うんだからそうなんだろうな」
俺は剣には詳しくは無いが、まぁ、見た感じでいい剣なのくらいはわかる
なんというか……こう、な?
説明しにくいけど、雰囲気みてーなもんがあるというかなんというか
「あぁ。これほどの剣にはそうお目にかかれるもんじゃねぇ。なんか、気になるよな……」
あまのなんとかっていう剣をまじまじと見つめる尊
本当に剣が好きなんだなとこっちまでもが思わされるような表情をしていて、危うく見惚れるところだった
「おっし、時間だな……そろそろ教室行くか」
「あ、そうですね……あの、ちょっと私図書室に用事があるので……」
「おう。尊と先に戻っとくわ」
「貴様にひとつ、忠告をしておこう」
「はい……?」
「日本神話の風神は、神としての説のほかに、妖怪という説もある二面性のある神だ。用心して接することだな」
そんな会話があってるなんて、教室で尊と話している俺が知る由もなかった
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