早朝の風景


「……」


朝から眩しい光で目が覚めた
多分、あの生活のときじゃありえない感じである。
何故なら俺の部屋は日当たり最悪で昼間でも薄暗い、電気必須。そんな部屋だったからだが、何か?


「……あー……珍しくあっさり起きちまった……」

「あー!起きてる!面白くない!」

「……!?な、この声!!」


真後ろ、部屋のドアのほうからひどく聞き慣れた出来るなら聞きたくなかった声がした
そう。先日話題にあがった俺のくっそ生意気な妹だ


「莉子!お前なんでいんの!?あれか!ゼウスの泥人形か!?」

「違うしー!あたし最初から天后なんですー!」

「はぁ!?何それ!」

「兄ちゃんだっさー」


やっぱりいつ会話をしてもイラっとする話し方をしやがる
これだから今時の輩は好きじゃない。そりゃもう盛大に
いつものように騒ぎながらリビングへと妹を追いやって、面倒だと思いながら制服に手を通す

すると、かすかに、何かの匂いがしてくる決してまずそうな匂いではないが


(……あいつ、料理できたっけか……!?)


不安になって、急いで制服を着て、飛び出せば、台所には今度は俺の姉ちゃんの麗菜がいた


「……はい?」

「よう、弟よ!元気か?」

「いやいやいや、あのな?ついこの間彩詞達は来たけどな?」

「あー、俺ね、百虎なんだわ」

「はぁ!?」


突然のカミングアウトに頭がついていけなくなりながらも、とりあえず、兄弟とおじさん、幼馴染はこの箱庭にいるという解釈をしておこう


「……もういいや、箱庭ってそんなもんなんだってことにしとく……」

「弟めー、だらしないぞ!臨機応変っていうんだ、そういうの」

「あんたはなんで動揺もしてないんだよ」

「だってなったものは仕方ないだろ、テヘペロ」

「姉ちゃんに聞いた俺が間違ってた」


そういえば、姉ちゃんは根っからの馬鹿だったと思い出し、諦めて姉ちゃんの作った朝飯を口に放り込む
俺の知ってる味である
でも味濃い。もっと薄めろ濃い味派め


「じゃあ、俺行くわ」

「お、早いな、まだ6時15分だぜよ」

「おまん達とは違うぜよ」

「ひどくね?莉子は今からちゃんと制服着替えて髪の毛もしてって忙しいだけ!」

「俺は登校時間ギリギリまでまた寝るわ」


見たか、これが満田家女子の、差だ
姉ちゃんは女じゃないし、妹は女子すぎて、その間の男の俺って可哀想だろ
まじ可哀想俺


「あー……せっかくいい寝起きだったのによ……ん?」


ぶつくさと文句を言いながら、歩いて行けばグラウンドで走っている草薙と尊がいた


(……ご苦労なこったな……俺は、また体育館裏でも行くかな)


あそこは俺にとって絶好の場所だし、風だって吹きぬけて好きだ
やっぱり、こういう好きな場所っていうのはあったほうがいいに決まってる

ここで、登校時間ギリギリまで一人で風に吹かれながら眠りこけてやろう


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