俺、個人戦主義なので出ません

「体育祭で戦ってぇ……生き残ったヤツは部室がもらえることに決まったから!」

「誰も死にませんよ……」

「ああ、部室か。それはぜひともほしいところだ」


ロキがバルドルにどうして体育祭の話になったのかを説明しているときだった
廊下からいつもどおりうるさいくらいの黄色い声がする
女子め、どうせ泥人形なら全員吹き飛ばしてやろうかまじうるせぇ

そう思いながらもバルドルに、その女子の存在を知らせる


「バルドルさん、入部したいんですけど……」

「アタシも!!一緒に軟式テニスやらせてください〜」


白い眼で女子を見ているとカタカタと窓枠が揺れていた
ちなみに今日は晴天だ、そんな中面白いほど窓枠が揺れている


「冷慈さん、あの…力、使ってますよね?」

「……。気づいたら、そうっぽいな」


その証拠に、俺が落ち着けば窓枠も揺れなくなった
なんだこの体質、面倒なこと極まりない


「ありがとう、これからよろしくね。こんな感じで、部員がどんどん増えるから、体育祭では何としても勝ち抜かないとね」

「よーーし、早速オレたち帰宅部で準備始めよ〜。い〜っぱい罠作らないと」

「罠はいけません!」

「わかったよぉ〜バレないようにすればいいんでショ?ニヒヒッ」

「……罠作ってたら竜巻作ってあいつを空の彼方へ飛ばしてやる」


俺の言葉よりも先にロキはウキウキと教室から逃げるように去っていった
いやはや、まじ面倒な輩である


「……体育祭、本当にやるのか?……今なら止められる……ロキが勝手に言っているだけだ」


今まで黙っていたトールが俺と草薙に向かって聞いてくる
いつも思うのは、あぁ、ロキの保護者だな。っていうそんくらいの印象
でも、割とトールは話しやすい(俺的に)


「部室を決める必要もありますし、とても喜ばれているので、学園行事として行ってもいいと思います」

「……気を遣わせてしまったな」

「いえ、そんな……人間の文化に興味を持ってやりたいことを言っていただけるのは、嬉しいことですから。ね、冷慈さん」

「……俺に振るなって」


結局、それから、俺と草薙で他の神様とやらに連絡というなの確認をして、2週間後に体育祭が開催されることになった

当然、部室がかかっているということもあってか全員地味に本気のようだ
尊は勝負というだけで喜んでいたけども


(まぁ、俺は個人戦主義だから出るつもりないんだけど)


そう思っているのを他所に早々と練習をしている奴等の姿が眼に映る
俺はといえば、当然、ディオニュソスとトールと応援側にいるわけだが


「ディオニュソスさんたちも一緒に練習いかがでしょうか?」

「してるよ〜!オレは応援専門だから。ほら、フレ〜フレ〜!」


黙っている俺とは違って、横で実にやる気の無い応援をしているコイツを今だけ殴っても良いだろうか


「っしゃーー!走り込み終了。ん、ハデスさんどうした、やらねぇのか?冷慈さんも!」

「俺は無理だわ。個人戦しか出ない主義」

「こじん、せん?…よくわかんねぇけど…」

「100Mリレーとか。そういうのがあんだよひとりでする競技が」

「じゃあ、やっぱり一緒に練習だな!」

「いやいや……ハデスとしてろって」


俺が動く気が無いことを察したのか尊はハデスの方へと足を進める
どうやらハデスのことも気に入ってるらしい
だからって何があるわけでもないんだがが


「そんなんじゃ、負けちまうぜ。勝負に負けるなんざぁ、男の恥!ほら、手ぇ貸すからこっち来なって」

「別に俺は……」

「いいって、遠慮すんなよ!まずは柔軟からだ。ほら、座って」


若干無理矢理、ハデスを座らせ、後ろから尊が背中を押す体制になる
あ、これは、痛いだろうな
俺でも痛いもん


「さ、いくぜ。大きく息を吸って、吐いて〜。せーのっ!」

「あいたたたたた。まて、尊。やめ……ったたたた」

「最初はそんなもんだ。さぁ、もういっちょ」


あ、あれ、俺だけだろうか。汚らわしく聞えたのは。
いや、あれだ。俺もまだ健全なお年頃って意味だ、きっと。あぁ、そうだ



「ここにイタズラをしかけて……いや、そう見せかけてこっちにしようかなァ!」


ロキは一人楽しくイタズラに思考を回しているようだった
実力使えやハゲ。


(こんなんで体育祭、大丈夫なのかよ)

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