信用≠友情
「大丈夫かい?カゼカゼ、とても顔色が悪いよ!」
「本当だね…冷慈、もしかして無理をさせてしまったかな?」
「…あまりにキツイようなら、早退というものをお勧めします」
教室に上がってきて早々、3人が俺に声をかけてくる
あの世界じゃこんなこと、なかったのに
「いや…体調じゃねぇから大丈夫だ……。悪い、草薙が頑張ったんだけどさ、俺がダメにしちまったかもしんねぇ」
「…もしかして、ロキ達のことかな?」
「あぁ。ご名答。…ゼウスのおっさんと、そいつら目の前に神様侮辱してんだわ俺」
「……なるほど。ですが、何故、神を否定したのですか?満田冷慈も風神なのでは…」
「いや、だから俺は候補、なんだよ」
ただ、そう事実と、草薙に対しての罪悪感を話す俺に、大丈夫だと明るく言う、2人と黙って話をきいてる月人が今は有難いと思った
今思えば、幼馴染は人間の世界にもいたけど、それは幼馴染にしか代わりなくて、友達という友達はいたためしがないような気がする。
「なぁ、俺さ一個聞きてぇんだけどさ」
「ん?何かな!何かな!僕でよければなーんでも聞いてくれていいんだよカゼカゼ!」
「…。おう。…あいつら…他の神様もお前らみてーに、いい奴、か?お前らから見て」
もちろん、もう打ち解けるのは無理だが(俺のキャパシティ的な意味で)常識的に考えて、さっきの発言は、俺に非がある
人間として、謝ることだろう。いや、別に俺は人間としての意見を言ってるだけで、俺の態度のことを謝るわけではない
あくまで、あの発言だけを謝るんだ
「叔父さんはいい人だよ!ディディもね!」
「ロキはイタズラがすぎるときはあるけど、悪いというわけではないよ。トールはロキに付き合っているという感じで、どちらかと言えば兄のようにも見えるかな」
「…戸塚尊も、悪い者ではありません」
「…信じるぞ、それ」
「カゼカゼってば信じてないって顔してそんなこと言わないでよ!!」
「癖だ癖」
この3人なら、俺は友達、と呼べるかもしれない。
信用、はしてない、けど友達
「んじゃ、俺、スッキリしたし、早退すっかな」
「え!カゼカゼ帰っちゃうのかい?」
「おう、風もやんだし」
「本当だ。もうすっかりいつもどおりだね。それにしても、さっきの風は凄かったね」
「えぇ。あの中帰るよりはいいかと」
やっぱり帰ろう。今会っても俺はともかく、あっち側が大層ご立腹であろう。そう思って、教室のドアを開けたときだった
「あ!!冷慈さん!!」
「くさな、ぎ…と、あんたら…」
なんてバッドタイミングだ
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