ゼウスにキレてぶちまけた
「っくそ、人間の体って不便すぎんだろ……」
俺に似た奴がそう呟いた
まぁ、そりゃそうですね、神様黙りやがれだ。そんなことを思いながら一度脳内を整理する
そういえば、俺は草薙について行って、日本神話の神様のところにいったんだっけ
でも、教室にはもう月人がいた。……ってあれ?つまり?
「……まぁああああじでぇえええええええ!?」
俺の脳みそをやっと紐解いたと思った早々、また窓から落ちた並の大声を出してしまった
そうか、コレが戸塚尊って呼ばれた奴か
コレがねぇ……?
「なんだよ!うっせぇんだよ人間!」
「ふっざけんな神様!かわんねぇよ!」
丁度、俺がいろいろピークに達したのか、キレる寸前なときに、校内放送らしきもんが突如スピーカーから流れ出した
『保健室に集まっているであろう神々よ。学園長室まで来い。満田冷慈もだ』
「はぁっ!?俺も!?」
思わずスピーカーに向かって叫ぶという意味のない行動をしてしまったが、今回は仕方ないだろう
「ありゃー……ま、仕方ない。行こうか」
「うるせぇよワインレッド野郎。散れこのクズ」
「神様に向かって凄いこと言うねぇ〜、でもそういうの割と好きだけど」
俺はそんなワインレッドや尊、ロキにトールになんか暗いおっさんを置いて、一人ズケズケと学園長室へ足を進める
「おっさん!きたぞ!」
「他の者はどうした」
「知るか!後から来るだろ!」
「そうか……まぁ、丁度いい満田冷慈、お前に聞きたいことがある」
そう言ったおっさんの顔はかなり険しかった
俺も、かなり睨んではいるだろうが、それは仕方ない何度も言うが仕方ない
「お前は何故、神を否定する?」
「んなもん決まってんだろ。いるだけで、何もしやしねぇ、人間をなんだと思ってやがるてめぇ等。神様がそんなに偉いか。俺はそうは思わねぇ!」
「…言ったはずだ。お前には彼奴ら、いや、神を理解するように励めと。その様子では理解しようともしていなさそうだな」
「ったりめぇだろ!!何も知らない神様ごときが人間を好き勝手動かそうとすんじゃねぇ!!いい迷惑だ!!大体俺は風神になんて微塵だってなってやろうとは思わない、あいつらと仲良しこよしなんてできねぇんだからよ!!」
もちろん、完全に売り言葉に買い言葉で、俺自身は少し、この生活に打ち解けようとはしてはいた
でも、それを言って、背後から殺気が飛んできて、思わず振り向いた
そこには、無表情の、呼び出しをくらった俺以外の神様がいらっしゃったわけで
これは、俺は草薙の頑張りを踏みにじってしまった可能性が大だ
「…チッ、おい、そこの不良神様。勘違いすんなよ。俺が、あんたら神様とやらを嫌ってるだけだ。草薙は違ぇぞ」
神様相手に睨みつけながら、怯みもせずに言う俺も人間として図太い奴だと思う
ただただ、溜まっていたものが俺の中で渦巻いて、吐き出す場所もなかったものが排出されているだけだった
そんな荒れていく俺に比例するかのように、風が吹き荒れている
こんな綺麗な青空なのに、暴風だ
「ほらな、草薙が頑張っても、お前らは動かない、その行動が、お前らが人間を裏切ってる行為そのものなんだよ。この貧弱」
神様相手に最悪な捨て台詞を吐いて、俺はその場から立ち去った
もう、草薙のいる保健室にも戻らない、教室にも上がらないことを決め込んだ
(次は俺が問題児に成り下がるのか)
学園長室を出て、一歩外に出れば、息が出来なくなりそうなほど、久しぶりに、泣きたくなった
もう、ずっと、涙すら出なかった、泣けなかったというのに
とはいっても、気分だけで、実際はやっぱり涙が落ちる気配もなければ瞳にすら、水分は溜まってもいない
「…だから、神様なんてもん、嫌いなんだよ」
吹き荒れる風の中、校舎から出て寮へと戻ろうと歩いていたら頭上から俺を呼ぶ声がした
「カゼカゼー!何をしてるんだい?危ないよ!!ほんとにあぶないよ!」
「…、アポロン」
「満田冷慈、この中一人で帰るのは危険です」
「そうだね、そんなに恐い顔をして…何かあったなら、わたしたちでよければ、話をきくけれど…どうかな?上がってきてくれないかな?」
「……。悪い、すぐ、上がる」
あの3人が人間のクズを呼んでいる
それだけで、クズだから、すぐに決心は揺らいだ
(もう一人じゃ抱えきれなくなってきた、このストレス)
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