※一緒に暮らしてる設定。 鼻の頭を真っ赤にして、ポケットに手を突っ込んで不動は校門に立っていた。 予想通り、不機嫌に眉を寄せておっせーよという不動に謝罪をした。 「今日は部活オフだから一緒に帰ろうって言ったやつが遅れてどーすんだよ」 「円堂につかまって…」 「もーいいって、さみいから早くかえろ」 スタスタと歩く不動に慌てて鬼道はついてゆく。 怒らせてしまった。どうやって埋め合わせをしようかと頭のなかでぐるぐると考えながら急いでいたらあやうく転びかけた。 振り返った不動に、呆れ顔で大丈夫かと聞かれてしまって、正直情けない。 そのまま不動がまじまじと見てくるから、なんだと思ったら不動は笑って言った。 「別に怒ってねーよ」 まったく不動は察しが良すぎて困る。言葉を発する前に分かられてしまっては俺は何も言えなくなる。 だが不動は自分に向けられる行為には不思議なぐらい鈍感であるから、俺のこのささやかな恋慕には気づいていないはずだ。 もともと、少しでも傍にいたいからという理由だけで帝国の寮に入るよりもうちに居候することを進めたのだ。 まさか本当に、一緒に暮らすことができるとは。 だが近くにいるからといっていいことだけとも限らない。 いますぐにでもその華奢な身体を抱き締めて温めてやりたい。 あわよくばひと気のないところで唇を奪って、そして。 なんて、いかがわしいことを考えていることに若干の嫌悪感を抱いてしまう。 それは仕方がない。俺だって男だし、思春期まっさかりなのだ。 好きな相手に、その、いろいろをしてみたいなと思うのは至極当然のことだ。 「不動」 「んだよ」 「お前の頭は見ていて寒い。帽子をかぶれ」 「はは、今更じゃん」 しまった、沈黙に耐えかねて無理やり話題を引っ張りだしたがもっと気の利いた話はなかったものか。 ちらりと横を覗く。さっきうっすら微笑んでいたが今は無表情だ。 白い肌の面積が多くてとても寒そうだ。 「まったく、マフラーぐらいしろ。風邪をひいても知らんぞ」 そう言ってさっとマフラーを不動の首に巻きつけた。 はっとして格好つけすぎたかと考える。 また不動にからかわれてしまうと思っていたら、不動はきょとんとしてこちらを見ていた。 「…不動?」 「…あったけ。ありがと」 不動が再び微笑んで、俺はこのまま心臓が破裂してしまうんではないかと思った。 不動長い睫毛が伏せられて皮膚の上に影を作っていた。 なんて、不動はかわいいのだろう。今すぐ抱きしめたい衝動に駆られる。 臆病な俺は結局思っただけでとどまってしまうんだから。 友達のふりをしながらこっそり思いを寄せるのは、この居心地のいい関係を壊してしまうのが怖いから。 何度、隣に眠るお前を襲ってしまおうかと考えたことか。 そんな男だ、俺は。不動に嫌われるよりだったらこの苦しい胸のうちを隠しておこうとするただの臆病者な。 「歩くのおせーよ」 「あ…」 不動は歩調を早めて少し前を歩き始めた。 あああ、こんなにも、お前に触れるには距離がありすぎて。 (触れたい、でもきっとこの恋は叶わない) 冬らしいきどふど。切な甘いを目指してみました! 冬らしさが飛んでいきました。 ハジメさん、いつも仲良くしてくれてありがとうございますー大好き!これからもよろしくしてやってください。 リクエストありがとうございました! |