novel | ナノ

お酒の魔法






※円堂さんが同棲してるきどふどにちょっかい出すだけ










久々に円堂に再開した。
ゆっくり昔の話をしようじゃないかと言ったのは俺のほう。
円堂は近くに住んでいるからと風丸をつれて家にやってきた。
それを不動がにこやかに出迎えた。







「よぉ、久しぶりだなあ二人とも!」

「久しぶり、不動。な、なんか雰囲気変わったな」

「んー?そうか?」

「うん、なんか奥さんみたいだな!」







円堂がなんの前触れもなく爆弾を投下するのも相変わらずだった。
はぁ!?何言ってんだよ!と言って赤面した明王の頭を撫でる円堂。
……別に嫉妬しているわけじゃない。
風丸、そんな申し訳なさそうな目で見るんじゃない!!!
円堂たちを案内しようと先を歩いた俺の隣に、後ろを歩いていた明王がスッと隣に並んだ。
そして、俺を上目遣いで伺い見ながら、一言。







「……有人、嫉妬した?」








……ああ、したさ!嫉妬しないわけないだろう!!
だが、口にするにはどうにもはばかられて、俺はただ顔をしかめてみせただけだった。
















「あきおはかわいいなぁ〜かわいいなぁあきお」

「んあー…」







鬼道はずきずきと主張をしてくる頭痛に思わずこめかみを押さえた。
全ては目の前のこいつらのせいだ。
円堂は酒が弱かったらしく、すぐに出来上がってしまった。
不動もほとんど飲めないが、円堂に次々とグラスに注がれ、普段飲まない量のアルコールを摂取していたので、ぼんやりしている。
そんな不動を、円堂は後ろから抱き抱えて、ふわふわの頭を撫で回している。
そのせいで明王の髪はぐちゃぐちゃだ。
普段鬼道がすると怒るのに、今は抵抗するでもなく、ただされるがままになっていた。







「鬼道………?」

「すまない風丸、大丈夫だ」

「あきおはかわいいなぁ……ふへへへへ」

「うー…くすぐったい……ふわああ、ねむ…」

「すげーいいにおい…」






円堂があきおあきおと名前を連呼しながら不動に擦り寄った。
当たり前だろう明王が良い香りがしないわけないだろう。
そんなことを考え始めた自分の頭はそろそろ危ないようだ。







「あきお、ちゅー」

「んむっ?」

「――っ!?――っ!?」

「き、気をしっかり持て鬼道!!」






あろうことか円堂は不動の顔を手で固定してキスをした。
しかも、本気のやつを。
舌を絡められて、今にも寝てしまいそうだった不動は声を押さえられず、色っぽい声を恥ずかしげもなく洩らす。








「ん、ん…ふ…あっ」

「円堂………っ!」

「わーっ、落ち着け鬼道!!」







衝動のままに立ち上がると、風丸に羽交い締めにされた。
ええい離せ!自分の恋人が別の男にキスされているのに黙って見ていられるか!
しかし、円堂はそれだけでは終わらなかった。







「肌すべすべだなー」

「ふあっ、あ……ダメェ……」







円堂は明王の服の裾から手を入れて腹を撫ではじめた。
明王はまた艶っぽい声を上げた。これではもういくら酔っぱらいだからと言って許せない。







「円堂…っ!歯を食い縛れ…!」

「鬼道!ダメだって!!!」

「ふう、う……ゆ」

「んー?どーしたあきおー?」







次の明王のセリフに、鬼道は固まった。







「んっ……ゆうとぉ……」








脳が破裂したのかと思うような衝撃。
潤んだ瞳で、普段はまっしろな頬を赤く染めて、とろんとした表情で、名前なんて呼ばれたら。
平常心でいられるわけないじゃないか……。







「鬼道―――――!!!」








遠退く意識の中で、風丸の悲痛な声が聞こえた気がした。
視界の隅に見留めた明王はすでに寝息を立てていた。















「……なんだよーつまんねっ」
「!……円堂?」
「不動は寝ちまったし、鬼道は気絶したし」
「えっ…あれ…円堂…?」
「鬼道ってからかうと面白いよなー」








そう言って円堂はいつものようににかっと笑った。
おもいっきりシラフだった。










(こいつ……相変わらず怖い…!)
















有人さんがアフォすぎる。
一番の被害者は風丸さん