novel | ナノ












不動の考えは全く読めない。

サッカーをしているときは分かる。不動がどうしてほしいのか。

でもそれ以外のことに関しては理解不能だ。




俺をからかったかと思えばそっぽを向いて放置したり

はたまた妙に真面目な話を振ってきたり。

よく分からない、分からないと思ううちに、つい目が離せなくなっていたのは、事実。















「鬼道ちゃんさ、俺のこと大好きだよねー」














なんでも無いように、まるで明日は雨が降るらしい、みたいな雰囲気で不動は言った。


俺は混乱した。

俺は不動のことが好きなんだろうか。

確かに、構ってほしいとは思うし、なんだか放っておけないとは思う。


あれ、これ、は、















「……おーい?こっち向け、きどうちゃん」


「………っ!?」















気付くと目の前に不動の顔があった。

俺が自分の頭をぐるぐると回転させているときに不動への意識が飛んでしまったことが不満のようだ。


ああ、気が付かないうちにずるずると、絡めとられていくようで




駄目だ、顔が、あつい。













「あっは、かわい」


「不動、近い……!」


「鬼道ちゃん分かりやすかったねー」
















自分で気付いてなかったんだろうと言われてはっとした。

と、同時に悔しくなった。

まんまと不動にうまく引き込まれた、気がして。














「ねえ」


「……何だ…」


「キスしていい?」


「は……!?」


「だって鬼道ちゃんかわいいんだもん」















どうしよう。顔が熱くてたまらない。

あとちょっと嬉しい。

この感情の消化の仕方が分からないので俺はとりあえず


自分で分かろうとすることが無駄だと悟ったので不動の言葉に頷いた。













(これから先も、お前が教えてくれるのかな)

























恋の仕方なんて知らなかった。だから無防備に恋に落ちた。

title by 確かに恋だった