novel | ナノ






□僕に言葉を、君にはキスを□







ノートパソコンの画面から目を離す。視界が若干ぼやけて、目が疲れていることを知らせる。
不動はベッドでうつ伏せに横たわっている。

小さな声で名前を呼んだら、不動はぱっと顔をあげた。
大きくてきれいな翡翠の目。
目蓋を指でなぞると、さも厭そうな顔をされてしまった。





「なんだよ、眠いんだけど。」






それでも不動はその手を払いのけることはしない。そんな態度に嬉しくなって、ついぐしゃぐしゃと髪を乱す。
不動は口を尖らせて不機嫌そうにしている。が、やっぱり拒絶はしない。






「寝てなかっただろう」

「寝てたって」

「終わるまで待っててくれたんだろう?」

「……自意識過剰なんじゃね?」






そう言って不動はもとのように枕に顔を埋めた。
パタンとパソコンを閉じて、ベッドに寝そべって不動を抱き締める。
突然のことに不動は驚きじたばたと腕の中で暴れる。





「おい、はなせ!!」






それを無視して首筋に顔を埋める。フワフワの髪はシャンプーの香りがした。

擦り寄ると、不動はあきらめたのか、大人しくなった。
ため息を吐いて、手を回してくる。





「今日は甘えただね」

「……そうか?」





不動を見たら、不動もこちらを見ていて、目が合った。どきん、と胸が高鳴る。

好きだ、と思った。






14才のとき、初めて人を好きになった。
最初のうちは喧嘩ばかりで、本当にこれで良いのかと不安で。
でも触れる度に愛しさは加速していった。
今もそれは変わらず、感情はつのって堆積して溢れて、止まらない。
それを伝えるには俺には言葉も、時間も足りないんじゃないかと思う。



不動は言葉は要らないと言う。


お互いに言いたいことは、言わずとも分かっているのだ。


でも俺は、口に出さないとどうにも勿体ないし、言ってくれないと物足りない。



伝えたくて切なくて、苦しくて、どうしようもなく甘ったるい






「…今、何考えてるかなんとなく分かった」






ニヤッと不動は笑った。それはひどく艶っぽくみえた。

俺のこと好きでたまんないって顔してる。いろんなこと考えていっぱいいっぱいなんだろ?

、と言ってから、不動は甘えるように鬼道の下の名前を呼んで、頭を引き寄せた。



欲しいものなんて分かり切ってる。
一緒にいた時間は、まだ俺たちが生きてきた年月の半分にも満たないけれど。











「あいしてるよ、」























ゲロ甘きどふどが書きたかった…。
甘いのはまだ書き足りないです。