小ネタ | ナノ

HAPPY CHRISTMAS






いいこにしてたって俺のところにサンタさんなんか、来ない。
俺が、なにが欲しいかなんて、誰にも分からないし与えることなんかできないからだ。
きょうはしあわせな日。
でも、みんながみんなしあわせになれるわけじゃないって、俺は嫌というほど知っていた。
ひとりぼっちな俺は、今年もしあわせにはなれない。

こつ、と窓から音がした。なんだろう、無視する。
こつこつ。今度は二回。
こんなに遅い時間に何なのだろうか。若干の苛立ちを覚えながらもゆるゆると起き上がって窓へ寄った。


「…は?」


誰もいないことをいいことに、俺は変な声を上げた。
窓の外にはクリスマスパーティーを抜け出して、口パクであけてと言う馬鹿の姿があった。
慌てて開くと、鼻の頭を真っ赤にした奴は悪戯っぽくにっと笑った。


「…なにしてんの」
「プレゼントを強請りに来たんだ」


冷たい手に頬を包まれて身震いをひとつ。
鬼道は、言葉を続けた。
本当はな、お前が欲しいものが分かったから来たんだ。
どうしても、お前にプレゼントしたかったから。


「メリークリスマス、不動」
「ふふ、そんななりじゃサンタってよりトナカイみたいだ」


ばれちゃったからもう意地を張るのはやめた。
外の空気によって冷やされていく身体とは反して、胸のまんなかはじんわり温かくなった。


「ありがと、サンタさん」
















愛情のほしかったあきおちゃん




111224


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