私が研究に没頭するのには理由がある。
一つ目は、何かに集中していないと、つい兄であるエルシャールの事を考えてしまうから。
二つ目は、何か凄い発見や発明をして、莫大な金を手に入れ、少しはエルシャールを楽にさせてやりたいから。
だから私は、ただひたすら研究をする。
今日もまた夜遅くまで研究に没頭していた。

一通り終わって、一息をついていた時の事だ。
コンコンとドアを叩く音がした。
こんな夜遅くに誰だと思いながら、ドアを開く。


「…エルシャール?」
「研究してる途中に悪いね。紅茶をいれた
のだけれど、一緒に飲まないかい?」


ドアの向こうにいたのは、紅茶ポットとカップを持ったエルシャール。
肯定の意味をこめて、取りあえず部屋の中にいれ、座らせる。


「相変わらず、凄いね。君の部屋。」
「君の部屋もそうだろう?」
「それもそうか。」


エルシャールはそう言って微笑みながら、紅茶をいれる。


「はい、君の分だよ。」
「ああ。…ところでエルシャール、私に何の用だ?」
「えーと、なんて言うのかな…こう、一人で部屋にいたら、その…。」


言い淀み、俯くエルシャール。


「なんだ、ハッキリと言え。」


私がそう言うと少しずつ、話し出した。


「…なんだか急に、寂しくなってしまってね。君なら起きているだろうし、研究の息抜きに紅茶でもどうかなって思って…。」「ほう…。」


そういえばそろそろ父と母の命日だったな。
この時期になったら、そのせいで心が不安定になる。
まあ、弟達にはそんなそぶりは全くと言っていいほど見せないのだが。
だが、一番年の近い私に対しては違う。


「だめ、かな。」
「いや、大丈夫だ。」


寂しいと言って、甘えてくる。
二人きりで一緒にいることができるんだ、断る訳がないだろう?


「ありがとう。」
「…これくらい別に構わない。」


ああ、なんて可愛いのだろうか。
本当に兄か?こいつは。
たまに疑いたくなる。
でも、まあこんな君を見れるのなら、弟もたまには悪くないな、なんて思う。


「ジャン?」


でもやはり、それだけじゃ満足は出来ない。
いつかは必ず、あの男に勝って、手に入れてみせる。
今はまだ敵わないが、絶対に。
…それにその前に、弟達をどうにかしないと。
むしろそっちのほうが、私にとって強敵だ。


「はぁ…」
「どうしたんだい?」
「いや、何でもない。」


なあエルシャール、
私は君を愛している。
だから、





少しくらいは
(いい思いをしてもいいだろう?)



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夜凪様から相互記念に頂きました!

夜凪様宅の家族ぱろ設定のデスレイ風味な番外編をお願いしたところ書いてくださりましたもう夜凪は天使です私の天使!デスレイという幸せを私に運ぶ天使←

本当にありがとうございました^^


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