ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ


長靴の底がゴム特有の音をたてる。
ぱらぱらと傘を叩く雨音を聞きながら歩く私の周りに人の気配がないのはきっと雨のせいだ。

平和なタイニーロンドンの住人達のほとんどは今頃部屋の中でくつろいでいるのだろう。朝からずっと続いてる中途半端な天気はころころと変わるため、皆外出を避けているようだった。

そんな中私はといえば念の為傘を持ち歩いていたので急な雨でも濡れずにすんだが、依頼のおかげでこんなに遅くまで雨の中歩き回ることになった。

まぁ、その依頼も今完了したのだけれど。


「ありがとう。助かったわ」

「困ったらまた呼んでくださいね!」


依頼主に軽く挨拶をした私は我が家であるロイヤルハウスに向かおうと方向転換して、ある店に目を留めた。正確に言うならばその店の屋根下に立つ一人の女性にである。


「あれ?ツカサさん?」


意外な人物に思わず首を傾げてしまったが(雨の日なんかは家で本を読んでるイメージがあったので)、彼女はまだ此方に気付いてないらしくじっと空を見つめている。

とりあえず話し掛けようと近付いていけば彼女も此方に気が付いたようで軽く会釈をされた。

「あの、どうしたんですか?」


会釈を返し傘をたたみながらそう聞くと、彼女は一瞬キョトンとした表情を見せたが、「雨の中こんな所で」と付け足せば質問の意図を理解したようで静かに理由を述べた。


「依頼の為に朝から外出していたのですが、気付いたら雨が降ってきてしまって」


あいにく傘は持ち合わせていなかったので。と語る彼女にあぁ、と相槌を打つ。


「朝は降ってなかったですもんね、雨」

「えぇ。それで、雨宿りを」

「なるほど」

「はい」


ツカサさんがここにいる理由は分かったが、空の様子を見る限りすぐに天候が回復するとは思えなかった。


「雨、止みそうにないですね」

「…そうですね」


私の言葉に空を見ながら応えた彼女を横目で見ると、少しだけ眉根が寄っていた。私の勝手な推測からすると、これはきっと困っている顔だ。


「あの!」

「?…何ですか?」

「一緒に帰りましょう!」


困っているツカサさん一人を此処に置いて帰るという選択肢はなかったので(だって女の子だし、最近寒いし、雨は止みそうになかったから)、そう提案した。


「え…でも…」

「ほら!私の傘ちょっと大きめですし!2人くらい余裕ですよ!」


少し戸惑ってる彼女にばさばさと傘を見せながらそう言うと、彼女はしばらく黙りこんでから、遠慮がちに言った。


「じゃあ…お願いします」

「はい!任せてください!」


ばさりと広げた傘をさす。傘の柄を挟んだ左側にはツカサさんが立っていて、いわゆる相合い傘という状態だ。雨がぱらぱらと傘に当たって跳ねるのを聞きながらまた歩き出す。目的地は勿論ロイヤルハウスだ。


「…あの、ルナさん」

「はい」

「ロイヤルハウスに着いたら、その…お礼に、お茶でもどうですか」


一つ傘の下、やっぱりちょっと遠慮がちに素敵なお誘いをしてきたツカサさんに、もちろんです!と微笑んだ。




雨音の中で
(てるてる坊主でも作りましょうか!)(照る照る坊主、ですか)(はい!ほら、てるてるツカサさんです!)(眼帯…ですね)

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司さんへ相互記念です^^
遅くなってしまい申し訳ないです本当!!
ツカサちゃんとルナちゃんの絡みということで、雨の日ねたを書かせていただきました!女の子が相合い傘してるのって和みます^^しかし人様のお子さんを書かせてもらったのは初めてだったんでちゃんとツカサちゃんらしくできているのか…!誰これ状態だったらすいません\(^o^)/

これからもよろしくお願いします!


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