「ん…んー…」


窓の外から聞こえてきた小鳥のさえずりに目を覚まし、もぞもぞと窓の近くまでベッドの上を移動する。太陽の日差しがあたたかい。


(良い天気だ…)


日差しの心地良さにもう一度眠りたい欲求に駆られるが、どうにかこらえて窓を開ける。涼しい風が髪を撫でた。


「ふあぁ」


(今日は確か講義は休みだ。それで、えっと…ああそうだ。シュレーダー博士から頼まれている遺跡の調査の続きをしないと)


寝ぼけまなこで一通り今日の予定を確認する。講義が無くてもやることはたくさんあるのだから二度寝などできないだろう。


(今日も忙しいね)


一つため息をつき、とりあえず顔を洗いに行こうとした私の手はどこからか伸びてきた手によって掴まれ、ぐい、とベッドの上へと引き戻された。


「わっ!」


勢いのままベッドの上に背中からダイブする。そんなに柔らかいわけではないベッドがぎしりと軋んだ。


「寒い」

「え?」


唐突に発せられた言葉の出所を探せば、それは簡単に見つけられた。仰向けに倒れた私のすぐ横にある布の塊だ。

そしてその塊から伸びている腕の主はまぁ、1人しかいない。


「おはよう。ジャン」

「ん」

「今日はあまり寒くないよ」

「いや、寒い」


諭すようにそう言っても、彼には全く効果がない。彼は寒い寒いと繰り返すだけだ。まぁ彼は大分寒がりなので仕方ないのかもしれないけど。


「じゃあ紅茶を淹れてあげるから、ちょっと離してくれないかな?」


手を掴んだまま動こうとしない彼にそう提案する。しかし彼はもう一度「寒い」と返してきただけで掴んだ手を離そうとはしない。


「うーん…困ったね」

「何がだ」


頑固に寒いで通してくる彼にどうしたものかと唸っていると、寒い以外の言葉で彼が返してきた。何がと聞かれて君に困っているとでも返せば彼の機嫌が悪くなる事は分かりきっているので、それとなく理由を付けて返す。


「えっと、ほら、手を離してくれないと紅茶も淹れられないし、ブランケットを持ってくることもできないから、寒いままだろう?」


だからちょっと、手を離してほしいんだけど。もう一度そう言えば、彼は「あぁ」と呟いた。


「よかった。分かってくれ」


たんだね。そう言うと同時に、布団の中へと引き込まれた。そして向き合った状態のまま、その腕に抱きしめられる。


「ちょ、ジャン!」

「あぁ…これでいい。温かい」

「よくないよ!私にはやることがっ…ああもう寝ないで!こら!ジャン!」


当然のごとく私を抱きしめたまま離さない彼に抗議の声を上げるが、もはや彼には聞こえてないようで。それに気付いた時には彼はもう静かに寝息をたてていた。


「…この、なんで寝てるのにこんなに力が強いんだい!」


どうにか抜け出そうと思ったが彼の腕の力がなかなか強いため抜け出せない。しかも彼の腕の中があまりにも心地良くて消えたはずの眠気がまた戻ってくる。


「ああもう…」


こうなったらもう、私にはどうしようもない事は分かっている。なんだかんだ言っても私は彼には弱いのだから。


「…しょうがないな」


今日だけだよ。と小さく呟いて、眠気のままにもう一度目を閉じた。





おはよう、おやすみ
(君と一緒なら何度でも)

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京太様に相互記念です!ほのぼの幸せデスレイということで、2人の朝を書かせていただきました!科学者は低血圧で寒がりなイメージです。一緒に二度寝とかどんな幸せ夫婦だって感じですねww

こんなデスレイ文でよかったら持ち帰ってやってください^^

これからもよろしくお願いします!


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