目の前の遺跡の欠片に息を吹きかければ削られた砂がパラパラと落ちていく。


(うん。あと少しかな)


かた、と遺跡の欠片を机に置いて伸びをする。昨日から徹夜で遺跡の研究をしていたものだから丸めていた背が痛んだ。


「いたたた…あれ?」


突然感じた寒さに驚き原因を探すと閉まっていた筈の窓が開いている。ひらりひらりと風に踊るカーテンはいつも余裕な仮面の科学者を思い出させた。


「デスコール…」

「なんだ」


窓を閉めながら遺跡以外に頭に侵入してきた彼の名を呼ぶと居る筈のない彼から返答が返ってきた。


「うわっ!何で君がここに居るんだい!」

「お前が呼んだんだろう」

「君ね、その前に入ってきてただろう!この時期は寒いんだから窓は閉めろとあれだけ言っておいたのに!全く君って奴はどうしてこう人の言うことを…わっ!?」


急な浮遊感に言葉が詰まる。気付いた時には私の体は既に彼の腕に抱かれていた。


「わ、ちょっ!デスコール!?」


つかつかと無言で歩きだした彼に不安を覚え名前を呼ぶが返事は返ってこない。もう一度大きな声で制止の言葉を掛けようとした時、あまり柔らかいとは言えないソファに下ろされた。


「寝ろ」


一体何なんだと思えばその一言。やはり彼の考える事はさっぱりわからない。


「まだ昼だよデスコール」

「いいから寝ろ」

「…私はまだ遺跡を」


研究しなくてはと言いかけた言葉は彼の通常より体温の低いであろう唇によって遮られた。


「ん、ぅ…!」


こじ開けられた口内に何かが流し込まれる。彼の口内で温められていたそれはゆるりと喉の奥へと滑りこんでいった。


「っは、デ、スコール!一体何を…」


飲ませたんだい!?と繋がる筈だった言葉は急に襲ってきた強い眠気によって思考の奥へと沈んでしまった。


「速効性の睡眠薬だ。少し眠るといい」

「ん…」


睡眠不足な身体は重くなった瞼を無理に開く事もできず眠りに落ちていく。


「そういえばさっき君は私が人の話を聞かないとかなんとか言っていたな。しかしそれは君にも言える事だエルシャール」


デスコールの低いテノールが子守歌のように眠気を誘う。意識が沈んでいく。


「おやすみエルシャール。良い夢を」


殆どない意識で最後に聞いたのは、愛しい彼の声と額に感じた微かな熱だった。




不器用な気遣い
(そんな君が、私は好きだよ)


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デスレイで甘いのを目指してみた。
教授は没頭すると平気で徹夜とかするので無理やりにでも寝かせるデス氏。
そんな気遣いに教授は気付いているけどやっぱり止められないしデス氏におやすみって言われるのが好きだから止めない教授。
なんだこいつら早く結婚しろ^P^


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