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チヨの子は前回の忍界大戦で死んでいる。
ただ一人残った子供はチヨに育てられ、砂が誇る傀儡師としても名を馳せた。

傀儡の操者の中でも最高の一人に数えられる。

そして今は抜け忍として砂の国に追われている存在でもある。
それがチヨの孫だ。

「まさか、そんな。
チヨ様の孫が」

カンクロウが知る噂では、
チヨの孫のサソリは当時の風影の命を受け人傀儡を作成していたが、
他人の意向に依り傀儡を造らせられることに嫌気がさして里を抜けたのだと。

しかし、カンクロウは思う、
(当時の風影はサソリが里を抜けてから一年程して姿を消した。
サソリが殺し、人傀儡にしたのでは)
と。

「傀儡の作者か」

我愛羅にしてみればカンクロウが溺愛する傀儡の作者程度だ。
チヨの孫として、同時に先の忍界大戦での功績でしか知らない。
しかも、今はアイスの方が興味と味覚を刺激している。

「これから言う事は極秘じゃ、黙っておれよ」

そうしてチヨが語った過去にカンクロウは驚きを隠せなかった。

サソリのみが造り出せる人傀儡は、素材となった者のチャクラをも引き継ぐことができる。
そこに目を付けたのが三代目風影だった。
砂の国では、既に尾獣の一尾が封印されて長い時間が経っていた。
新たな人柱力を得る為に画策していた中、最悪の算段がされた。

人柱力の素質を持つ者を作ろう、と。

何人もの男女を掛け合わせ、生まれた子供を確かめて行った。
素質を持つ者は実際に一尾を憑依させたが、失敗は続いていた。

幼い子供には、内側に存在する自分以外のそれが分からず、そして内側のそれに怯え、喰われていった



非道な実験がされていく中、以前に人柱力だった者の肉体を基に人傀儡の製造が命じられた。
風影の命を受け、人傀儡の材料は集められた。
既に以前の人柱力が居なくなって久しく、その死体は腐っていた。
原型の無い死体では人傀儡は造れないと主張するサソリに、それでも人傀儡の製造が命じられた。

傀儡師のプライドもあってか、残った部分と通常の傀儡を混ぜ合わせサソリは人柱力にすべき傀儡を造

り上げた。
それはチャクラを保持できる物ではなかった。

次に用意されたのは以前の人柱力の血縁者だった。
小さいながらも可能性を持つ者は全て連れてこられた。
老人から生まれたばかりの乳飲み児まで。

サソリは命令を実行に移し、全てを人傀儡に加工した。

「そんな」

「今の平和な時代しか知らんお前たちには辛いだろう、しかしこれは現実じゃ。
だが、ここまでは問題はなかった」

そのどれもが人柱力には成り得なかった。
それでも、まだ可能性を捨て切れない上層部は更に人傀儡を造るように命じた。

「サソリはそれに耐えきれなかった」

小さくカンクロウと我愛羅は頷いた。

「己の望む傀儡を造る時間を奪われたサソリは、砂を抜けた」

内心椅子から転げ落ちそうになったのは我愛羅だけだった。


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