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チヨの下に荷物が届いたのは直ぐだった。
相談役宛ての荷物とあり、カンクロウと我愛羅は、どうしても「受け取りの印をもらう!」と言い張る

男を連れてチヨの下を訪れた。

「確かに、受け取ったからのぉ」

宅配の男は受領印をもらうと、箱ごと荷物を置いて来た時と同じく猛スピードで帰って行った。

残ったカンクロウと我愛羅に、チヨは目を細めた。
二人に座るように勧め、チヨは未だに煙の出る箱を開けた。

箱を開けると、更に煙が増え、地に伝った。

「この砂漠まで、こんな物を届けさせるとはの」

箱の中から一つを掴み上げ、開けた。
カンクロウと我愛羅が目を見張る中、チヨは付属の木のスプーンを突き刺した。

「良い飛脚だの。まだ溶けておらん」

硬さを確かめ、箱の中身を残らず冷凍庫に放り込み、箱にへばり付いた紙を愛おしそうに眺めた。

紙には蠍の絵が描かれていた。
それはカンクロウの傀儡の簡単には見えない場所に描かれている物と同じだった。

サソリが自分の作品に記すものだった。

「カンクロウ、我愛羅。この荷物、黙っておいてほしい。
これは口止め料じゃ」

先程冷凍庫に仕舞った物と同じ物をチヨはカンクロウと我愛羅に差し出した。
それを受け取ると、想像以上の冷たさに凍えた。

「アイスクリームという砂では滅多に手に入らん甘味じゃが、お前たちは知っておるかの」

「それは、見れば分かります。こんな溶けやすい物をこの国まで運ばせたのには一体どんな理由が」

そう言いつつも、カンクロウの手はアイスの蓋にのびていた。
カンクロウは以前に他国でアイスクリームを食べたことはあった。
そして、砂の国でも食べてみたいと常々思っていたが、土台無理な話だった。
砂の国ではアイスクリームを作るのにも、保存するのも難しかった。

己の欲を抑え込もうと必死になるカンクロウの隣で我愛羅がアイスの蓋を開け、当然のように口に運ん

でいる。

チヨは内心、
(我愛羅は落ちたな)
と、ほくそ笑んだ。

「のう、カンクロウ。お主の傀儡の調子はどうじゃ?」

不意に傀儡の事を聞かれ、カンクロウは何かあると勘付いたが、チヨの話に乗ってみることにした。

「好調です。そんな事より、この荷物は一体」

「わしの、孫からじゃ」


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