6p(捕獲をしてみたりなんかりして)


一二三に連れられ事務所から連れ出されたファラッドは見たくないものを見た。
昨日乗った車とは別の物に、同じ運転手が乗っていた。

所長の言うとおり、運転席のハンドルを握りつぶしそうな顔つきで唇を歪めていた。

「捕獲だー! お縄だー! 拉致だー!」

一二三は適当なことを言いながら運転席のドアを開けてカロルを引きずりだした。
カロルも大した抵抗はしない。
下手に抵抗をしてドアを外されるのも嫌だったし、無駄な損害を出したくはなかった。

運転席から渋々カロルは降りた。
助手席で物言いたげな女が一人乗っていたが、ファラッドと一二三は放置することにした。

「さて、所長から連れてくるようにと命令されてな」

「御用だー! 問答無用だー! お昼はラザニアだー!」

暗に「昼食にラザニアを奢れ」と一二三はカロルの背中にしがみついた。
背の高いカロルの首に腕を巻きつけて腹を両足で挟む。
まるで、「お兄ちゃん、おんぶ」状態なのだが、カロルの内心は冷や汗が滝のように流れている。
首をへし折られる直前の状態でもあるのだ。

そうでなくとも、カロルはファラッドと一二三の上司には会いたくないのだ。
今ここで逃げても問題は解決しないだけではなく、悪化することを知っているカロルは大人だった。

「俺はなんでもいいぞ?」

「えぇい、俺にたかるな。
俺は昼までに帰る、絶対に帰るんだ」

「所長がその言葉を聞いたら絶対言うだろうね〜
『絶対昼までには帰さない』って」

カロルだけを連れて事務所へ戻ろうとした時、
カロルが乗ってきた車のドアが乱暴に開け放たれた。

「わたくしも連れて行ってくれないかしら」

即答したのは一二三だった。

「嫌」

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