対峙



それはひっそりと、けれども確かな威圧感を持って僕と対峙している。
僕は思わず逃げそうになって、気力でそれを押し込めた。

(……大丈夫)

自分に言い聞かせるように考える。手元には、麻の袋に入った、それに対する唯一の武器がある。

目を瞑って、ゆっくりと深呼吸する。
そうしてまた目を開ければ、今からひとつの命を奪おうとしているのに、この心情は意外にも穏やかだ。
それは、この手にあるもののおかげなのか。魔を封じるとも言われるそれは、僕の手の中で音を立てる。

夕日が、僕を背中から照らす。

麻袋の中に手を入れ、中のものを掴む。
瞬間、級友の顔が脳裏に浮かんだ。

(このことを知ったら、泣くだろうか)

多分泣くだろう。
それに対して、これでもかと愛情を注いでいた男だから。

(……でも)

もう戻ることはできない。
掴んだものを振り上げて、それに投げつけた。



















「なめくじくたばれぇぇぇぇえええ!!!」














end


金吾VSなめくじ

リーサルウェポン→塩



back



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -