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たまに、二人きりになったときに、騎士王は私に“済まない”と言った。 彼の書斎に、軍備の予算と隊列についての案をまとめた書類を持っていった時だった。普段ここで目にする孤高の騎士は、今日は不在のようだった。騎士王はありがとうと書類を受け取って、いくつか世間話をしたあと、少しの間を開けて例の決まり文句を呟いた。 「毎度毎度、言っているでしょうに。あなたのせいではないって」 彼は謝るようなことなぞ何もしていない。それどころか私の方がよっぽど世話になっている。 毎回そう返すが、騎士王は懲りずに謝罪の言葉を繰り返すのだ。その度に私はいたたまれなくなってしまう。 「済まない……」 ああまた、彼が呟いた。 夏が終わって、窓の外では色の変わった葉が舞っていた。それが部屋のなかにはらはらと影を落とす。気が付けばもう夕方だった。赤い逆光の中の騎士王の表情は、よりいっそう苦しげに見えて。 そんな沈痛な顔をして、彼はいったい、何を謝ろうというのだろう。 実の弟と戦わせたこと? 戦場しか外の世界を知らないこと? 聖剣に選ばれたこと? それとも、私を生み出したこと? 一般の常識から考えれば確かに奇怪で不遇な人生だろう。だけど、それでも、私は自分の人生を、幸福だったと言えるだろう。 「王、あのね」 「私は、あなたのおかけで、幸せでした」 「弟と会えたし、外の世界を知ることができたし、それに自分の存在する意味を見つけることができた」 「全部、あなたのおかげです」 だから、何の責任も感じなくていいんだよと、この人生をくれた感謝をこめて、 「ありがとう」 と、言った。 end 辛い思いさせててごめんねって思ってる騎士王と、心から人生楽しんでるブラブレちゃん この「弟」とは双子の弟設定なブラスター・ダークちゃんです。お兄ちゃんは溺愛ぎみです。
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