ノーチェブエナに恋をして(姫)


白の世界が小さなオレンジで淡く色を変え煌めきに心を踊らす。

透き通るように奏でられる鈴の音は待ちわびる心を映したものと言えよう。
君の心に僕は、色を着けているのか聞く事は無いけれど今、側で笑うのだけは許して欲しいと願うのだ。





「寒いですね、また雪降るのでしょうか…」
「どうだろう?明後日は天気が悪いみたいだからな、気圧配置によっては降るんじゃないか?」



他愛もない会話。二人寒空の下吐く息で闇のキャンパスに雲を描きながら帰る道。短い距離ではあるけど並び歩くのはとても幸せな時間で…


冬生まれなのに寒さに弱い黒子はマフラーでぐるぐるに首を巻いて、手袋を着け、顔を覗かせている頬と鼻頭を赤くしている。
水色の髪と瞳に白い肌は、外の冬景色に溶け込みそうだけど、その赤が引き止めているように見え、街の煌びやかな電飾が黒子の瞳に映り多色に輝く様が綺麗だった。


ふと、頭をよぎる考えに頬が緩く柔む。



「…黒子、少し花屋に寄って良いか?」
「?はい、いいですよ」




色とりどりの花が並ぶ中から選ぶのはただ一つ。
今の俺にはこれ以外選択は無い。



「…何の花を買ったのですか?」
「ポインセチアだよ、ちょうどの時期だろう?」
「そうですね…部屋に飾るんですか?」
「いや、黒子にあげるんだよ、貰ってくれないか」
「僕、にですか?なんでまた…」



俺は袋に入ったポインセチアに手を伸ばし一輪を折り取って、それを黒子のマフラーの隙間に差す。
何も言わずぼんやりとしている黒子に微笑みかければ、鮮やかな赤に染まる頬と今し方贈った一輪の赤に自分が黒子の一部になった気がして心が弾む。



言葉にしなくても伸ばして触れた指先から気持ちが伝わればいいのに、なんて柄にもなく願ったのだ。



end

中学×花言葉。でした!

ポインセチア(祝福する、聖なる願い、私の心は燃えている、清純)

題のノーチェブエナはポインセチアのメキシコ語訳です。




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