○○に注意!(高緑)


朝。いつも通り校門を抜けた俺は、長身で目立つ緑色の頭を見かけて声を掛けた。

「真ちゃんっ♪ おはよー」

「ん? …高尾…か…?」


一瞬、何を悩んでいるんだ、と不思議に思ったが、振り返った相棒の顔を見て愕然とした。相棒の顔で光っているはずのアレが…ない。


「真ちゃん! メガネはどうしたんだよ!?」

「ああ…おは朝で、今日の蟹座はメガネに注意と言っていたのだよ…」

「でもメガネないと見えないんじゃないの? コンタクトとか持ってないよな?」

「持っていない…。くそ…今までおは朝占いのアイテムでメガネが出たことはなかったから油断していたのだよ…」


おいおい…。さすがにそこまでしなくても良いんじゃないか? これはやっぱテレビ局に文句を言ってやらなきゃ駄目だな、と考えていると、真ちゃんの向こうから前をろくに見もせずに暴走するチャリが迫ってきた。このままだとぶつかってしまう。


「真ちゃん危ない!」


とっさに真ちゃんの前に出て、そのまま歩き続けようとする真ちゃんを正面から抱き止めた。驚いた真ちゃんが俺を引き離そうとしたが、チャリが俺の後ろを通り過ぎて行ったのを見て固まってしまった。


「まったく…校内暴走すんのとか止めろよなー」


真ちゃんを抱いていた腕をゆるめながら軽く文句を呟くと、頭上から声がした。


「…すまないな高尾…」


見上げると、珍しく落ち込んだ表情の真ちゃんが俯いていた。


「え? いや、気にすんなって。今のはアイツらの方が悪いしさ」


これを機に、占いに頼りすぎるのはいい加減懲りたらどうだと諫めようと思っていたのに、そんなに落ち込まれるとそこに追い討ちをかけるようなことはとても言えない。


「真ちゃんがそんなに素直だと何か調子狂うぜ? ま、そんな真ちゃんもかわいいけどな♪」

「! 高尾…!」

「そうだ、真ちゃん。今日はずっと俺といろよ。俺が真ちゃんの目の代わりになってやるからさ」

「な…高尾、良いのか?」

「ああ、いいぜ? 今日は家まで送ってやるからな、真ちゃん♪」

「高尾…あ…」

「ん?」

「…あ…ありがとう…」


少しいじめてやろうと思って続きを促してみたのだが、わりと素直に続きを言われ、逆にこっちが照れてしまった。素直な真ちゃんは破壊力が半端じゃない。


「おう。じゃあ、行こうぜ」


真ちゃんの手を取り歩き出す。真ちゃんは恥ずかしがっているが、敢えて気付かないふりをする。

今日は一日、堂々と真ちゃんの側にいられる。
メガネを掛けていない俺のエース様には、このニヤケ顔は見えないはずだ。








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