2号擬人化V(緑間と2号)

「ほら真ちゃん!かわいいだろー」


そう声を掛けられ、高尾の方へと振り向いた俺は固まった。


「あ、みどりまくん」


そこにいたのは、未だ見慣れない誠凛のマスコット、テツヤ2号。
人となった彼の姿を見るのが初めてという訳ではないが、今回の彼はいつもとは違う。

水色の髪の間からぴょこんと飛び出たふわふわの耳に、下半身には尻尾のような物まで生えているのだ。
しかも、問題はそれだけではない。


「…お前は犬ではなかったのか…?」


耳はともかく、尻尾の方は、どう見ても猫の物だった。




 …




「悪かったって!お前がそこまで猫嫌いだとは思わなかったんだよ!」

「あの、みどりまくん……すみませんでした…」


全く悪びれた様子もなくゲラゲラと笑い続ける高尾とは対照的に、2号はずっと下を向いたままだ。
その頭には、もう先程の猫耳はない。

2号に猫耳と尻尾が生えていたのは、予想通り高尾の仕業だった。
誠凛との合同練習に一緒に来ていたはずの高尾の姿が見えなくなったと思ったら、2号を構っていたらしい。
「猫耳は男のロマンだ!」と言う高尾によって、抵抗する間もなくそれを付けられた2号。
そして、そこに俺が呼ばれたのだ。


「ぼくがはっきり断らなかったから、みどりまくんにまでご迷惑をお掛けして…」


誰が見ても落ち込んだ様子の2号の頭に手を置き「お前のせいではないのだよ」と声を掛けると、「何だ真ちゃんデレ到来か?!やっべぇちょーウケる!」と高尾が騒ぐ。


「煩い黙れ。悪いのは2号ではなくお前なのだよ、高尾」


後で覚えていろ。
その意思を込めて睨み付ければ、高尾は「やだなぁそんな怒んなって!あ、2号、ご機嫌取りよろしくなっ」と足早に去って行った。
やっと静かになったとため息をつく俺を見て、2号はくすっと小さく笑う。
2号に笑顔が戻った事への安堵は、高尾への怒りをも少しずつ和らげていった。


「それにしても、みどりまくんが猫嫌いだとは知りませんでした。ぼく、犬で良かったです!」


すっかり元の調子に戻った2号が、心底嬉しそうな顔をして、そんな事を言い出す。
こうも直接的に好意を寄せられるとやはり照れてしまい、どうも素直に喜びを表す事ができない。


「別に犬派という訳でもないが」


つい、冷たくも思えるそんな言葉を吐いてしまった。
それを聞いた2号は再び落ち込み、「そう、ですよね…すみません」と力ない笑顔を見せる。
罪悪感が頂点に達した俺は、慌てて言葉を付け足した。


「に、2号なら、犬でも猫でも構わない!どちらでも好きなのだよ!」


結局、更に恥ずかしい事を言ってしまったと気付いた時には、もう手遅れで。
自分でも顔が赤くなったのがわかり2号から顔を背けようとしたが、同じように真っ赤に染まっていく彼の顔が目に映り、反らす事ができなくなっていた。
初め驚きに大きく見開かれていた2号の目は次第に細くなり、すっかり赤く色付いた頬がへにゃりと弛む。


「ありがとうございます!ぼくもみどりまくん大好きです!」


体育館に響き渡るその澄んだ声を皆に聞かれたのが恥ずかしくて、思わず2号の手を引き、外へと駆け出した。
繋いだ手は熱く、振り向き様に見た2号の顔は幸せそうに笑っていて。

まぁ、こんなのも悪くはない。

そんな風に思ってしまった。








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