にっくき夏野の所為で、俺の童貞を徹ちゃんに捧げる機会を失われた俺は、今も捧げられないままでいた。
くっそー!いつ行ってもあいつがいるなんておかしいだろぉおおおおおっ!
そもそもなんであいつが居るんだよ!くっそ!都会に帰れ!
そもそも襟をたたせている時点できにいらねーんだよっ!
気取ってんじゃねーやい!
しかも今日の襟の立たせっぷりはおかしいだろーがっ!
何で普段より2割り増し上なんだよっ!
明らかに首隠してます感ぷんぷんじゃねーかっ!
「なぁ、夏野、何で今日はそんなに襟を立たせている訳〜?もしかして見られたくない物でもあるんじゃね〜の〜?」
「…!」
「あれあれ、図星かよ〜」
しかも珍しく顔を赤くしやがって、何なんだよ、気持ち悪いったらありゃしねーかっ!
「おい、やめろって正雄、いちいち夏野につっかかるなよな〜」
「うるさいやい、保!そんなに襟を立たせちゃってさ〜、いかにも何か隠してます、どうぞツッコンで下さいと言わんばかりじゃねーか」
「お前には関係ない」
関係ないだとぉぉっ!そりゃーねーよ!ねーけど、てめーの所為で徹ちゃんがあんまり相手してくれなくなったんだよっ!!
くっそ、その襟に隠された秘密見てやるっ!お前の弱み握って徹ちゃんに近づけさせない様にしてやるぜっっ!!
「顔真っ赤にしやがって、何がそこに隠れているんだよっ!」
「正雄、やめろって…!」
「…!」
保の制止を振り切って、夏野の襟を思いっきりひっぱってみたら、赤い痕がくっきりと夏野の首に付いていた。
赤い痕ー?なんだよ、蚊に吸われた痕かよ!拍子抜けじゃねーかっ!もったいぶらせやがって!
「虫刺されの痕じゃねーか!もったいぶらせんじゃねーよ!ケッ!」
「離せよ!」
襟元掴んだまま睨み付けてくんじゃねーよ、大体お前がそんな風にわざとらしく襟を立たせているのに問題があるんじゃねーか!
「夏野ー保ー正雄ー」
「兄貴!」
「徹ちゅわぁんっ!!」
あぁ!今日も相変わらず素敵だよ!徹ちゃぁああああん!
その垂れ目っぷりといい!寝癖なのか何なのか分からないその髪の毛の飛び跳ねっぷりといい!
稲穂の様な色にふわふわの髪に、バックに太陽の光をしょって笑顔で登場だなんてなんてさわやかなんだいッッ!
俺の王子様そのものじゃないかッ!
「って、あれ、夏野?どうした…ぐは!」
「…徹ちゃんの所為だかんなッ!!」
「ほえ?俺?って、夏野ー」
くっそ、またあいつを追っかけて、徹ちゃんいっちゃったじゃないか!
あぁ、いつか徹ちゃんとあの本にあった事を実現させるんだ!
そう言えば、あの本に自分の所有物の証に相手の首にキスマークつけているのあったけど、いつか徹ちゃんにしてもらいたいな!
その前にあの本を前の時に、徹ちゃん家に忘れてきたから返してもらわないといけないけれどッ!
がんばるよ!徹ちゃん!待っててね!
「正雄ー早くしないと遅刻するぞー」
「わかってるやい!保」
待ってね!
Thanks Clap 10.07.30 hikage.
襟首まで憎いよ!
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