俺の兄貴は誰にでも優しい。
けど俺達妹弟には兄貴の優しさの違いが分かっていた。
「おしいよなー夏野が女だったらなぁ」
「ね。そう思うよね。私も夏っちゃんが女の子だったらって思うのに!」
「だってな」
「だってね」
「あの兄貴がな」
「あのおにーちゃんがね」
「あんだけ優しくするのは」
兄貴の好きなタイプはきまって年上で巨乳だった。
初恋は確か保母さん(巨乳)綺麗な人だったのは覚えてる。
その人に道端に咲いている綺麗な花を摘んではあげていた
俺達妹弟には優しいのは勿論の事、他の人にも優しい兄貴だけど、好きな相手になると更にその優しさが割り増しされる。
けれどそれがどうした事か、今兄貴の優しさは一人の男に注がれている。
気づいてないのかな、兄貴。
あの正雄が嫉妬する位だから、結構夏野には特別に目に掛けているのが見て取れるけど、何をどこで間違えたのか結城夏野は女みたいな名前だけれどれっきとした男だ。
俺の1コ下で、兄貴の2コ下。
顔は…まあ整っている方だと思う。クラスの女子が騒いでた位だし。
けど男。
だから何か変な感じだ。
「夏っちゃんが女の子だったら違和感ないんだけどね」
そうそう、そうなんだよな。
兄貴のあの優しさを長年側で見てきた俺達からしたら変な感じで、何だかモヤモヤするんだよ。
「実は夏っちゃんが女の子だったりとか!」
いやそれはさすがに無い…。制服ズボンだし、前兄貴がアバラ骨浮いてたとか言ってたし。
あと夏野が女だったとしても胸はなさそうに思えるけど。
「でも、当人同士が幸せそうならいいか」
うん、相手が男でも女でも兄貴の恋は応援しようと思う。
そういえば兄貴の好きなタイプって、気が強い様に見えて優しくて自分を叱ってくれる人……もだったな。
Thanks Clap 11.11.20 Hikage.
武藤さん家の保君
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